就籍邦人の罰金問題解消へ 入管の日系人認定に基づき
比司法省は就籍した残留邦人が比を出国する際に罰金を科さない旨の通達を出した
在比日本国大使館は14日、日本の国籍を回復した残留日本人が日本のパスポートで比から出入国する際、日本国籍者であることを理由に罰金が猶予される旨のガイドラインを、比司法省が出したことを発表した。過去には、比から就籍の申請をしていた残留日本人が就籍後に日本のパスポートで出国手続きをした際、年齢分の違法滞在罰金を請求されるという問題が発生していたが、今回の通達で日本のパスポートで出国する際に罰金・手数料が猶予されることが明確になった。
入管のダナ・サンドバル報道官がまにら新聞に提供した入管通達2023―004号「比日系人に関するガイドライン」の複写によると、入管は「日系人」を「日本を離れ外国に移住した日本人およびその子孫」と定義。比日系人について「比国パスポート保有の有無に関わらず出国が許される」と明記した。
日本のパスポートで出入国する際の要件としては①日本のパスポートまたは渡航文書②日系人であることを認定する入管命令――の二つ。
入管の日系人認定を受けるには①比の公証役場で公証された日系人認定の要望書②申請者を日系人と宣言する日本大使館による証明書③日本パスポートまたは渡航文書の複写――の三つが必要。
申請や書類作成についてはNPOフィリピン日系人リーガルサポートセンターが支援を行う。
同通達はまた「比国籍の放棄を行っている場合は、通常の外国人に課される規則および罰金が(元)日系人にも適用される」としている。
2014年には、就籍を果たした新・ビエンベニド・トシオさん(70)=当時=が日本への渡航手続きをする際、「生後70年間不法滞在に当たる」として入管から144万ペソ(当時のレートで約330万円)の罰金が科された。
その際は大使館の天野哲郎総領事=当時、泉川直仁領事=同、PNLSCの猪俣典弘事務局長=同=による交渉で、就籍日から起算した日数分の罰金を支払うことで決着したが、あくまで当時の入管長官による特例とされた。日本大使館はこの「不法滞在」問題を解決するため、比司法省などと交渉を続けていた。(竹下友章)