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8月5日のまにら新聞から

EDCA予定地で合同救援作戦 米軍施設建設加速を訴え

[ 1348字|2023.8.5|社会 (society) ]

比米両軍がEDCA施設予定地を拠点に台風被災地支援。日本にヘリと軍艦の供与を要望

EDCA施設建設予定地のラルロ空港に到着したテオドロ国防相(左)とブラウナー参謀総長=3日、カガヤン州でロビーナ・アシド撮影

 テオドロ国防相とブラウナー国軍参謀総長は3日、比米軍共同で実施された台風5、6号被災地への救援物資供給作戦を視察した。同作戦は、比米防衛協力強化協定(EDCA)に基づき米軍利用可能施設の建設が4月に決定したばかりのカガヤン州ラルロ空港を拠点に実施。両軍は米軍の垂直離着陸機V22オスプレイ、重量物輸送ヘリCH53シースタリオンを用い、1300世帯分の食料を被災したルソン島北方フガ島とカラヤン島に運んだ。

 4月に追加が発表された4カ所のEDCA施設予定地のうち3カ所が台湾に近いルソン北部に指定されたことで、台湾有事の際の米軍の対中軍事作戦の準備の一環ではないかとの懸念も呈されるなか、設置予定地でEDCAの主要な目的である人道支援・災害救援を実施したことには、世論を沈静化させる意図もありそうだ。

 ブラウナー参謀総長は記者団に対し「国軍は被災地のニーズに十分応える航空機を保有していない」と問題を提起。テオドロ国防相は「比国内に追加された4カ所のEDCA施設建設は遅れている。災害救援と比の領土安全保障上の抑止能力向上のために建設を加速させるべきだ」と訴えた。

 同相はまた、中国から懸念が表されているEDCA施設の追加について「他国がとやかくいうことではない。わが国は、領土争いがある場所を別にして、他国内に別の国の基地が建設されても文句をいうことはない」と明言、「内政干渉」を拒絶する姿勢を明確にした。

 米軍利用可能施設を巡っては、2014年に締結されたEDCAに基づき16年、全国5カ所に米軍利用可能施設建設が決定。今年4月にマルコス大統領がカガヤン州などルソン北部に3カ所、南シナ海に面するパラワン州に1カ所の追加設置に合意している。

 ▽ヘリと海軍艦の供与を

 ブラウナー参謀総長は、日本の政府安全保障能力強化支援(OSA)について「比国軍は日本に何を要望したか」というまにら新聞の質問に対し、「日本は武器の供与に後ろ向きだったため、陸軍は軍用ヘリ29機、海軍は日本が沿岸警備隊に供与したような巡視船に似た艦艇を要望した」と明らかにした。それに対する日本からの回答は「まだない」とした。

 岸田政権は今年度中をめどにOSAの基準となる防衛装備品移転3原則の要件緩和を進める。7月に自公がとりまとめた同原則の解釈に関する論点整理では、現行の「救難」「輸送」「警戒」「監視」「掃海」の類型に該当するなら「武器」の供与も否定されていないとの認識が示された。

 OSA初の供与対象国となる比には、まず警戒管制レーダーが供与される見通し。比陸軍が要望を出したというヘリについては、昨年陸自が比陸軍に多用途ヘリUH―1Jの供与を約束しており実施可能だとみられる。しかし、艦艇に関しては、護衛艦は「武器」に当たると公式に解釈されており、5類型にも当てはまらないことから、掃海艦や輸送艦に限られるとみられる。

 国防省の3日の発表によると、このほど比を訪問した日比友好議員連盟会長の森山裕衆議院議員は2日、テオドロ国防相と会談。その際、同相は森山氏に対し「国境を越えた投資、事業の実行、事業プロセス管理を通じたさらなる比の自衛体制への支援」に期待を表明した。(竹下友章)

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