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7月20日のまにら新聞から

きょうから第4世代車両運行 パサイ市で大統領がテープカット

[ 1372字|2023.7.20|社会 (society) ]

LRT1の第4世代車両が20日から運行開始。開始式には大統領も出席しテープカット

LRT1新車両のテープカットを行う大統領(中央)=19日、首都圏パサイ市で竹下友章撮影

 首都圏パサイ市バクラランの車両基地で19日、三菱商事が納入した軽量高架鉄道1号線(LRT1)の第4世代車両が披露され、マルコス大統領によるテープカット式と試乗が行われた。20日には最初の1編成が運行を開始し、今年12月まで毎週1編成ずつ追加される。同事業は円借款「マニラ首都圏大量旅客輸送システム拡張計画」(供与限度額約433億円)の一環。式には大統領のほか、バウティスタ運輸相、越川和彦駐比日本国大使、国際協力機構(JICA)フィリピン事務所の坂本威午所長、三菱商事の石川治孝フィリピン総代表、インフラ複合企業メトロパシフィック・インベストメントのパギリナン会長らが参席した。

 三菱商事は、2017年に比運輸省からLRT1向け次世代車両120両(30編成)の納入を受注しており、現在80車両を納入済み。製造はスペインの鉄道建設大手コンストゥルショネス・イ・オクシリヤ・デフェロカリレス(CAF)が引き受け、機器類には日本製のものが採用されている。契約額は約300億円。

 第4世代車両は4両編成で、車両の幅は2・59メートル、1編成の長さは106メートル。最高速度は時速70キロメートルで、1度の運行で1388人の旅客を輸送可能だ。

 マルコス大統領はスピーチで「LRT1の車両増加による旅客運送能力向上は、渋滞と大気汚染の改善につながる」と歓迎。同時に進行するLRT1のカビテ方面延伸プロジェクトについて「2027年までに完全な運行ができることを期待している」とした上で、「この旗艦プロジェクトは1日80万人輸送することを可能にし、カビテ州バコオル市からパサイ市バクラランまでの交通時間を1時間10分から25分に短縮できる」と説明。比の交通インフラ近代化を推し進める決意を改めて表明した。

 途中、飛行機の通過でスピーチが中断したが、その際に「以前より活発に運行されている。これは比の交通インフラが改善したサインだ」と述べ会場を和ませた。

 越川大使は「LRT1の運行が始まったのは1984年。故フェルディナンド・マルコス元大統領の時代だった」と振り返り、「(その長男の)マルコス現大統領と共にLRT1第4世代の車両の運行開始を祝えることを大変うれしく思う」とあいさつ。マルコス政権のインフラ投資政策「ビルドベターモア」に対する日本政府の協力の意思を改めて表明した。スピーチの最後には、新車両を製造したスペイン企業CAF代表者への感謝の言葉をスペイン語で述べ、会場から喝采を浴びる場面もあった。

 JICAの坂本所長は第4世代車両の特徴について「エネルギー効率が高く、メンテナンス費用が低廉で、自然災害にも強い」と説明。15日に政府共通のスローガンとして採用されたばかりの「バーゴン・ピリピナス」(新しいフィリピン)にとっても「大きな一歩となる」と述べた。

 公共事業道路省の最新情報によると、LRT1号線のカビテ延伸工事進捗(しんちょく)率は88%。新たに整備される各駅の進捗率は、ドクターサントス駅が71・1%、ニノイ・アキノ駅が59・3%、アジアワールド駅が54・6%、MIA駅が66・8%、レデンプトリスト駅が59・8%。現在のLRT1の南端であるバクララン駅からカビテ州二ヨグまで約12キロ延伸する。(竹下友章)

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