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7月17日のまにら新聞から

「比を潜水艦保有国に」 マカティに事務所開設 仏政府系軍艦製造会社

[ 1140字|2023.7.17|社会 (society) ]

仏ナバルグループが比海軍の潜水艦創設支援を見据え、マカティ市に事務所開設。建造艦はスコルペヌ型になる計画

 400年以上の歴史を持ち、フランスの基幹産業である軍艦船造船を担う仏政府系ナバルグループはこのほど、潜水艦隊創設を見据えた比海軍支援事業を強化するため首都圏マカティ市に事務所を開設した。今年、国軍近代化プログラムは第3段階に入り、その中には、海上艦に見つからず攻撃可能なため大きな抑止力を持つ潜水艦の調達も含まれる。一方で、東南アジア諸国連合(ASEAN)主要6カ国中、フィリピン以外の5カ国は潜水艦を保有しているか調達契約済みで、比と海洋権益を争う中国に至っては原潜含め約70隻の潜水艦を保有。比の海軍力の遅れは顕著となっている。それを挽回するための潜水艦保有への本格的な動きが顕在化した格好だ。

 14日の英字紙マニラタイムズ電子版などによると、同社のロイク・ボーレペール比営業部長は、同社が比政府に対魚雷防衛システムの提供および潜水艦隊の創設という二つのプログラムを提案していることを説明。比保有軍艦に対魚雷システムを搭載する契約は今年中に結ばれる見込みで、潜水艦建造は最終承認を待つ段階だとした。

 比海軍に供給する潜水艦は、速度と隠密性に優れたディーゼル駆動のスコルペヌ型をモデルに建造する構想。ボーレペール氏は同艦について「魚雷・対艦ミサイル18基を装備・連射可能で打撃力において比類がない」と説明した。

 また同氏は、同社の提案が比海軍による潜水艦隊の自立運用を見据えた支援パッケージであることを説明。比人の手で潜水艦を整備、維持、管理できるよう技術移転を行うほか、比海軍隊員をフランスに招き、実際の潜水艦やシミュレーターを用いて4年間訓練し、将来的には訓練を修了した比人を教官とするトレーニングセンターを比に開設する計画だとした。

 同氏によると、潜水艦基地の建設地について比海軍は、サンバレス州のアギラスービック海軍基地を候補地に選択済み。同氏は「アギラスービック基地の周辺は水深も深く、造船所も近いことから労働力調達の面や潜水艦の維持・整備にも適しており、潜水艦隊基地建設に素晴らしい場所だ」と述べ、潜水艦基地の設計や機材提供に関しても支援を行う準備があることを明らかにした。

 その上で同氏は、仏政府の後援の下、比政府に対し返済期間20年の長期融資を提案していることを明らかにした。14日の事務所開設式に参加したミシェル・ブコ駐比仏大使は「海洋に関する国際法の発展を進める国家として、仏は比の海洋安全保障能力強化への取り組みを支持する」と述べ、同事業への仏政府の支援を約束している。

 マルコス大統領は5月の国軍設立125周年記念式典で、比保有軍艦への対潜水艦魚雷システム搭載事業が終わった後に潜水艦の保有を行う旨の発言をしていた。(竹下友章)

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