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7月8日のまにら新聞から

「柔軟性の大切さ」学ぶ 協力隊員2人が1年振り返る

[ 1148字|2023.7.8|社会 (society) ]

JICA海外協力隊員の中間報告会で、それぞれが1年間の活動を振り返った

中間報告会でプレゼンを行う協力隊員の関口さん=7日、首都圏マカティ市で沼田康平が撮影

 首都圏マカティ市にある国際協力機構(JICA)フィリピン事務所で7日、JICA海外協力隊員による中間報告会が開かれた。昨年6月、JICA海外協力隊員としてコロナ禍以来で初めて着任した宮川好美さんと関口卓弥さんが、これまでの活動内容についてそれぞれの赴任先の教育機関とともにプレゼンテーションを行った。

 JICAの竹中成文次長のほか、技術教育技能開発庁(TESDA)、比国家経済開発庁ボランティア調整局(PNVSCA)の職員らも参列し、同報告会を見守った。

 竹中次長は冒頭で1966年以来、およそ1600人の海外協力隊員が比へ派遣されてきたとし、「(ボランテイア事業について)お互いに取り組んできたことには大きな意義がある」と説明した。

 カビテ国立総合大ロサリオ校に赴任した関口さんはパソコンインストラクターとしてプログラミングやパソコン操作に関するセミナーを実施してきたことを報告。実施した計8回のセミナーで学生300人と教職員50人が参加し、15回の授業における補佐的なサポートにも取り組んだという。関口さんは「日本とは異なる環境のなかで、頻繁に発生する計画の変更に対応できる柔軟性が重要」と振り返った。

 首都圏パシッグ市のリサール技術職業訓練高校に調理師として着任した宮川さんは、これまで14回にわたり実施してきた調理実習について説明。サンドイッチや餃子、巻き寿司など日本料理の調理デモに加えて、りんごの皮むきコンテストも催した。宮川さんは比の食生活にも触れ、「ご飯や野菜の摂取量を調整し、健康的な食生活を送ってほしい」と呼び掛けた。来学期からは同校のジュニアハイで手工芸を教えるという。

 サルマゴ・エラPNVSCA上級調整官は「直面する課題やポジティブな収穫もあったようだ。技術共有などお互いに学び合うことで良いパートナーシップにつなげたい」と話した。

 ▽新隊員2人も意気込み示す

 同報告会にはJICA海外協力隊員として新たに着任した三村真理さんと川村旭弘さんも同席していた。二人はともにバタンガス州クエンカ町に派遣予定。

 熊本県で農業を営んでいたと話す三村さんは自身の娘の社会問題解決に関する作文に刺激を受け、元々関心のあったボランティアに挑戦したと明かした。クエンカ町で農業技術指導に携わる予定の三村さんは「これまで培ってきたことを活かして美味しい野菜を作れたら」と抱負を語った。

 日本で消防士として消火活動や救急対応を経験してきたという川村さんは同町災害対策事務所に派遣される。学校や地域で災害対策や救急技術、防災知識などを指導するという。川村さんは「職場や地域に溶け込み、その中で見えた課題にしっかり対応していく」と意気込んだ。(沼田康平)

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