完工直後の陸橋が「沈下」 DPWH幹部や業者を告訴
イロイロ市とパビア町を結ぶ陸橋が施行不良でわずか12日間の共用で閉鎖された
昨年9月6日に本格的に共用開始されたイロイロ市とパビア町を結ぶ車両用の陸橋ウンカ・フライオーバー(全長453メートル)が12日後に施行不良のために通行止めとなり、公共事業道路省西ビサヤ地方事務所が補修事業を計画している。イロイロ市議会のプラリデル・ナバ議員らはこのほど、行政監察院に対して、「陸橋の閉鎖は多大な不便を市民らに強いているほか、補修のために追加予算を支出するのは強盗に等しい」として同地方事務所の幹部ら4人と施行業者の代表者2人を職務怠慢や不正行為などで告訴した。8日の英字紙インクワイアラ―が報じた。
陸橋はイロイロ市からイロイロ州カバトゥアン町にあるイロイロ国際空港までの移動時間を短縮するために建設された。建設請負業者のインターナショナル・ビルダーズ(IBC)が6億8000万ペソで受注して建設を進め、昨年6月30日に部分共用を開始し、9月6日に全面的に共用を開始した。
しかし、この橋梁を利用した車両の運転手などから「走行すると路面が波を打っているように感じる」などと苦情が相次ぎ、また強い雨が降ると路面の広い部分にプールのような水たまりが出来るなど不具合が顕著となったため、9月18日に陸橋の使用を全面禁止せざるを得なかったという。
この問題を受けて、公共事業道路省西ビサヤ地方事務所は陸橋の補修事業を計画し、最低2億5000万ペソの予算を計上する方針を打ち出した。このためナバ市議やイロイロ市議会の前議員らが5日に行政監察院に不正行為などで同事務所の幹部や施行業者の代表らを告訴したほか、地元の消費者団体の代表も6日に行政監察院に対して独立調査機関を設けてこの陸橋建設事業に関する第3者調査を実施するよう請求する申立てを行った。
このウンカ・フライオーバーはフランクリン・ドリロン元上院議長が予算を付けて建設にこぎ着けたことで知られているが、施行不良だったことは明らかで、最近では地元住民たちの間で「沈みつつあるフライオーバー」と呼ばれているという。住民たちによる抗議活動も活発化しており、今年5月23日にも多数の住民らが参加する抗議集会が行われている。(澤田公伸)