旭日大綬章にアルベルト・ロムロ氏 令和5年春の叙勲発表
令和5年春の外国人叙勲で、「国家または公共に対し勲績ある者」に授章される旭日章(全6等級)の中で最高位の旭日大綬章に、元外務大臣のアルベルト・ロムロ氏が選ばれた
日本政府は4月29日、令和5年春の外国人叙勲で、「国家または公共に対し勲績ある者」に授章される旭日章(全6等級)の中で最高位の旭日大綬章に、元外務大臣のアルベルト・ロムロ氏(89)が選ばれたと発表した。
ロムロ氏に加え、旭日重光章に元国防相のデルフィン・ロレンサーナ現基地転用開発公社総裁(74)、旭日中綬章に前国家通信委員会(NTC)委員長のガマリエル・コルドバ現臨時会計検査院長(52)、旭日小綬章にフィリピン大ディリマン校のシンシア・ザヤス教授(69)がそれぞれ選ばれた。また、瑞宝双光章に在フィリピン日本国大使館のアデーラ・ビレーナ元職員(60)、そして瑞宝単光章に同大使館のバーバラ・リカフレンテ元職員(60)も選ばれた。
同大使館の発表によると、アロヨ政権の後期からノイノイ・アキノ政権初期(2004〜2011年)にかけて外務大臣を務めていたロムロ氏は、比日両国の国交正常化50周年に際し、今日の「戦略的パートナーシップ」の基礎となる共同声明「親密な隣国間の包括的協力パートナーシップ」の策定で中核的役割を果たした。また、「日比経済連携協定」締結に向けた日本との交渉、比日間の経済関係の新たな高みへの引き上げ、日比外務・防衛当局間協議(PM協議)の立ち上げを指揮した。
ロレンサーナ氏については、国防相時代の強力なリーダーシップの下で、日本の完成防衛装備品の海外移転で初案件となった2020年の国防省・三菱電機による警戒管制レーダー納入契約をはじめ、防衛分野での両国関係の強化への貢献が認められた。
また、弁護士でもあるコルドバ氏は比での地上デジタルテレビ放送の方式決定において日本方式を積極的に推進し、2010年6に地デジ日本方式の採用、13年11月に日本方式採用を再表明するなど、比での同方式の決定・普及に貢献した。一方で、コルドバ氏が委員長を務めていたNTCは2020年5月に、かつての民放大手ABS—CBNに放送停止命令を下している。
国費留学生として日本で修士・博士号を取得し、日本語が堪能なザヤス氏については、日本の人類学者と協力し、比における海洋人類学研究を行ったことで知られる。日本の災害文化や海女の研究を通じ、日本社会への理解を世界に発信すると共に、日本の伝統芸能の比における普及にも貢献した。(岡田薫)