OFW避難にEDCA活用 台湾有事念頭に国防省
国防相「他国で紛争が勃発した際にEDCA施設をOFW避難に活用できるか協議」
ガルベス国防相は19日、台湾海峡を巡る緊張の高まりを念頭に、「他国で紛争が勃発した際」に比米防衛協力強化協定(EDCA)に基づく米軍利用施設を活用し、海外比人就労者(OFW)の大規模避難を行うことを米国側と協議していることを明らかにした。
台湾には15万人を超えるOFWが滞在している。黄渓連駐比中国大使は14日のフォーラムで「比が15万人の在台OFWを本当に大切に思うなら、台湾独立に明確に反対するべきだ」と発言。脅しともとれる発言として比国内で波紋を呼ぶとともに、在台比人の安全への懸念が高まっていた。
ガルベス国防相は、ノイノイ・アキノ政権時(2010~16)にも「在韓OFW5万人の避難計画を策定したことがある」としながら、「われわれは既に世界のさまざまな『引火点』を特定し、非常事態のための計画策定に取り組んでいる。EDCA施設やその他の場所を人道支援活動の一環としてOFWや外国人の大規模避難に使用する可能性について米国側とも協議を行った」と述べた。
それに対し、比シンクタンクの総合開発研究所(IDSI)のメリサ・ロハ上席研究員は「たとえ避難目的であっても米艦船の台湾への接近は中国による武力攻撃を招き、かえって在台OFWを危険にさらす」と警告した。
▽避難はバタネス州を経由
台湾とルソン島の間のルソン海峡に位置するバタネス州のマリロウ・カイコ知事は19日、台湾有事が発生した際の非常事態計画を作成中であることを明らかにした。
同知事は「在台OFWは約15万9000人おり、バタネス諸島は避難民を全員を収容するには小さい」とし「チャーターした民間船でOFWを輸送し、書類だけバタネス州で処理、その後首都圏や他の地域に輸送する計画となっている」と計画の内容を説明した。
策定されたら国軍北部ルソン司令部に提出され、国軍の避難計画に組み込まれる。(竹下友章)