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3月6日のまにら新聞から

東ネグロス州知事ら9人殺害 実行犯の元兵士らを逮捕

[ 1531字|2023.3.6|社会 (society) ]

東ネグロス州パンプロナ町の自宅で応対中だったロエル・デガモ知事を含む9人が、迷彩服を来て重武装した集団に銃撃されて死亡した

殺害された東ネグロス州のロエル・デガモ知事=(同知事のフェイスブックから)

 ビサヤ地方東ネグロス州パンプロナ町サンイシドロで4日午前9時36分ごろ、自宅玄関付近で訪問客に応対中だったロエル・デガモ知事が迷彩服を着て重武装した集団に銃撃され、知事やバランガイ(最小行政区)議長、民間警備員や民間人ら少なくとも9人が死亡した。5日までに重傷を負った13人が入院中で、軽傷だった4人が退院したという。重傷者には国軍関係者やラジオパーソナリティー、医師も含まれるという。

 同知事の妻でパンプロナ町長でもあるジャニス・デガモ氏が、午前11時41分ごろに知事の死亡確認がされたことをSNSで伝えていた。国家警察は事件発生後、直ちに特別対策本部を設置し、陸軍と合同で容疑者の追跡と、主犯の洗い出しに全力を注ぐことを発表した。そして同日午後4時20分ごろ、知事殺害の実行犯とされる10人のうち3人(うち2人は元兵士)が逮捕され、同日午後9時過ぎには追跡作戦の末の銃撃戦によって容疑者の1人が射殺された。

 デガモ知事は殺害当時、現金給付事業(4P)の受給者に応対していた。そこに自動車2台に分乗した武装集団が現れ、知事宅に入り込み、敷地内で知事らに向けて銃を乱射し、車で逃走した。その場にいた関係者や民間人らも無差別に発砲を受けたと見られ、近くの病院に運ばれるなどしたという。

 マルコス大統領は同日、「この卑劣で凶悪な犯罪の容疑者を裁判にかけるまで、政府が休むことはない」とし「逃げても隠れられない。今すぐ降伏することが最善の選択だ」と警告する声明を発した。また「この事件の捜査は急速に進展しており、すでに多くの情報を入手した。背後にいる者を裁くため、どう進めるか明確な方向性は見えている」と伝えた。

▽知事選に問題か

 昨年5月の統一選挙における同州知事選ではデガモ知事が次点となり、ヘンリー・テベス氏が当選していた。しかし、デガモ氏は名前が酷似した泡沫候補に得票が流れたことを中央選管に訴えていた。中央選管は昨年10月にデガモ氏の訴えを認め、当時のテべス知事が「最高裁判所に今回の決定に対する不服の申立てを行うことはできる」としながら、知事交代を決定していた。テベス陣営の不服申立ては今年2月、最高裁に退けられたが、デガモ知事への脅迫が続いていたという。

 監視カメラの映像などによると、殺害の実行犯は迷彩服に防弾チョッキを着用、重火器も所持していた。ちゅうちょなく発砲しているほか、逃走用に使ったと見られる車両3台が、知事の自宅から10キロ程離れたバヤワン市の山中で乗り捨てられるなど、用意周到なプロの手口を伺わせる。

▽元兵士ら捕まる

 容疑者3人は、バヤワン市での追跡で逮捕され、そのうちの一人はカガヤンデオロ市在住の元陸軍所属ジョリック・ラブラドール容疑者(50)。東ネグロス州在住のジョベン・アベール容疑者(42)も元陸軍特殊部隊の所属だった。一方、西ミサミス州在住のベンジー・ロドリゲス容疑者(45)は国軍関係者ではないとされている。また、死亡した容疑者の身元は明らかになっていない。

 3人からは拳銃1丁と実弾入りの弾倉1つ、身分証明書3枚が押収されたが、後の供述から、アサルトライフル4丁や弾薬、弾倉、弾薬用の広帯の他、複数の迷彩服や防弾チョッキなどが見つかったという。

 過去1カ月以内に発生した地方行政首長への襲撃事件はデガモ知事の殺害で4件目。2月19日にはイサベラ州アパリ町のアラメダ副町長らの一行が武装集団に襲われ、副町長を含む6人が殺害されたほか、同月18日には南ラナオ州のアディオン知事らを乗せた車列が武装集団の襲撃を受け、同知事が負傷し同行者ら4人が殺害されるなどしている。(岡田薫)

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