連続強盗関与1人を送還へ 司法省が報告 「ルフィ」はまだ先か
比で拘束中の日本の連続強盗指示役のうち一人が近く送還へ。「ルフィ」は比内で係争中のため送還遅れる見込みと司法省
フィリピン司法省は28日までに、日本で発生している連続窃盗・強盗事件に比の入管施設から指示を出していたとみられる日本人容疑者4人のうち、渡辺優樹容疑者と今村磨人容疑者の現状を明らかにした。両容疑者のうち今村容疑者が比国内の刑事訴訟裁判での棄却が今月25日付けで決定したため、一足先に日本に送還される見込みだという。
「ルフィ」と呼ばれる事件の指示役について司法省は「日本の警察は渡辺容疑者を『ルフィ』だとしている」と説明。同容疑者を「犯罪組織のリーダー」とした。また、今村容疑者については「日本の一部メディアは『ルフィ』だと報じていたが、組織の一構成員に過ぎない」とし、「書類が整い次第、強制送還を実施する」としている。
2人を含む比入管施設に収容されている日本人4人に対し、日本では特殊詐欺関与の容疑で逮捕状が出されていた。
リーダー格とされる渡辺容疑者は2021年5月17日に首都圏パサイ市のホテルで国際手配犯として拘束され、同年5月28日付で強制送還が命じられていた。しかし、同容疑者は女性・児童に対する暴力防止法(共和国法9262)違反の罪により、パサイ地裁で刑事訴訟を抱えていることが判明し、送還が延期。司法省は送還時期を「訴訟が棄却されるか、判決が下され刑期を終えた後」としており、「ルフィ」の送還にはまだ時間がかかりそうだとしている。
一方、今村容疑者は2019年にマニラ空港で日本における窃盗などの疑いで拘束され、20年1月30日付で強制送還命令が下されていた。しかし、同容疑者もその後、女性・児童に対する暴力防止法の5条A項(女性やその子どもへの身体的な危害)違反の罪で、マカティ地裁に刑事訴追されていることが判明し、送還が延期されていた。
しかし、今年1月25日付けでマカティ地裁は同訴訟の棄却を決定。司法省は出国書類が整い次第、すぐに同容疑者の強制送還を入管が実行するとしている。
▽収容施設で携帯電話も利用可
渡辺容疑者らは首都圏タギッグ市の入管収容施設からSNSを通じて実行役に指示を送ったとされる。出入国管理庁のサンドバル報道官は28日、ANCニュースに出演し、「容疑者らが収容されている入管施設は拘置所でなく、『送還を待つ外国人の収容施設』なので、通信機器の使用は許可されていた」と説明。ただ、現在は「捜査期間中の予防措置」として、一時的に通信機器を没収しているとした。
渡辺、今村両容疑者の身柄については「施設には17人の日本人がおり、両容疑者もその中にいる」と確認。一方で「だれが『本当のルフィ』なのかは完全には特定できていない」とした。17人の日本人収容者のほとんどが比国内の刑事事件で係争中という。(竹下友章)