[新聞論調] 季節の挨拶に変化 根底には比人のモラルコンパス
SNS上でクリスマスや新年の挨拶を見ていると、「絵文字」や定型化された名言、文学作品表現など、実に幅広い挨拶の選択肢を提供してくれていることに気がつく。私たちは書店やモールに出向き、時期相応のカードを選ぶ時間を費やす必要がなくなった。 デジタル社会は、郵便局や写真館だけではなく、メーカーや仕入れ先、商社におけるマーケティングスタイルを大きく変えたことは間違いない。結果としてコダックのような写真業界、ホールマークのようなカード業界、そうした商品を販売する店舗も変貌したといえる。 グリーティングカード業界における最大の変化は、店頭でのカードからパーソナル化されたオンラインカードへの移行だと専門家は言う。その一方で、比較的多くのカード購入者がいて、郵送する光景も残る。受け手と送り手双方がその物理的な存在を好み、思い出に残せるという単純だが大切な理由があるからだ。これは物理的な本の存在価値とも似ている。事実「贈る」「受け取る」といった行為には、オンライン上の挨拶のみでは捉えられない満足感が含まれている。 一方オンラインでは、場面ごとに応じた色とりどりのメッセージに、正直驚く。貧困が蔓延する比では、食卓に食べ物があること、子どもや女性への暴力が止むこと、雇用の促進といった祈願メッセージまで見られる。 フィリピン人にとっての行動指針・価値観となる社会道徳的な誠実さ、そうしたモラルコンパス(倫理基準)の永続性を望むメッセージが、根底にはあるものといえる。2023年以降の社会に、よりクリエイティブなメッセージを期待したい。(7日・ブレティン、作家で教育者のフロランジェル・ブレイド)