システム障害で離着陸できず 乗客6万5000人が一時足止め
マニラ空港の航空管制センターで1日、システムの電源が喪失。離着陸が長時間不可能に
マニラ空港で1日午前10時前、システム障害が発生し、国際、国内便すべての離着陸が長時間に渡ってできなくなった。乗客約6万5000人がターミナル内などで一時足止めされたが、2日現在、システム自体はほぼ復旧し空港機能は平常に戻りつつある。ただ、前日に欠航便が大量に出たことで機体の調整が難航しており、フィリピン航空(PAL)では2日も数便が欠航し、完全に通常運航に戻るのは4日になるとしている。
比民間航空局(CAAP)によると、航空管制センター(ATMC)の電気系統に問題が発生し、システムが停止した。
1日午後8時ごろのバウティスタ運輸相の発表では、運航キャンセルが345便、ダバオ、セブ・マクタン、クラーク各空港への迂回10便、遅延後の出発待ちが6便だった。日本の主要都市とを結ぶ路線も、日本航空の成田~マニラ、フィリピン航空のマニラ~成田、マニラ~関西、セブパシフィックのマニラ~福岡、マニラ~関西などに影響が出て、途中で引き返した便もあった。
同日午後4時55分にPALのブリスベンからの便が着陸を許可され、同5時33分にはキャセイパシフィック機が離陸するなど、午後9時までに約10機が離発着した。
セブパシフィックのカルミナ・ロメロ広報担当は、ウェブサイトでフライト状況を確認するよう利用客に呼び掛けている。また、影響を受けた乗客には、同社のウェブサイトを通じた無料での再予約、トラベルファンド(返金を保管し次回のチケット予約時の支払いに使用する)、払い戻しなどの対応を行うとしている。
バウティスタ運輸相は「状況は把握している。マニラ空港公団(MIAA)と航空事業者協議会が復旧計画の作成に取り組んでいる」として、事態は沈静化していると強調した。
▽システムはJICA事業
CAAPの2日の声明によると、マニラ空港の航空管制(CNS/ATM)システムは、日本の国際協力機構(JICA)の融資事業(事業費108億ペソ)で、2017年10月に完成し、19年7月26日から本格運用が始まった。
一方で、CAAPは19年の時点で、すでに同システムが最新ではないことを認識しており、システム改善をドゥテルテ大統領=当時=に提言していたことも明かした。今回の事故は「何らかの問題でシステム電源が喪失し、バックアップ電源も機能しなかった」とし、CAAP内の安全監督室が原因調査を行うとしている。(岡田薫)