孤島や国軍基地で隔離 凶悪犯罪者に関する規則発令へ
凶悪犯罪の受刑者の隔離を定めた共和国法に基づき司法省がまもなく規則細目を発令
司法省のクラバノ報道官は16日、今年7月に発効した凶悪犯罪者用特別施設法(共和国法11928号)に基づいて、凶悪犯罪者で有罪判決を受けた受刑者を孤島や国軍基地内などに厳重隔離する施設を設置するための規則細目がまもなく策定されると発表した。17日の英字紙インクワイアラーが報じた。
同法に基づく規則細目の制定により、ルソン、ビサヤ、ミンダナオの3地方に1カ所ずつ人口の多い地域から離れた孤島や国軍基地内、地方の刑務所などに凶悪犯罪受刑者用の隔離施設を建設する計画。現在の各刑務所における定員超過問題を解消するとともに、刑務所内外の犯罪に関与する受刑者に対する監視を強化することが目的。
同報道官によると、隔離施設は無許可での通信手段が取れない場所に設置し、男性用、女性用、LGBTの受刑者用の建物にそれぞれ分けられるという。また、隔離施設の内部には監視カメラが設置され24時間受刑者の動向を監視するほか、監房の施錠や出入り、区域ごとの往来を厳しく制限するシステムが採用される見込みという。
一方、同規則ではさらに、太陽光やバイオマスを使った発電施設、さらに雨水回収・浄化装置などを設置して隔離施設だけで独自に電力や水道を賄えるようにする条項、そして国連および海外での収監者取り扱いに関する基準や規則などを参考にした、弁護士や家族による接見や交信を受ける権利も保証することが盛り込まれるという。
規則細目案では、隔離施設が完成した日から30日以内に凶悪犯罪による受刑者の移送が始まるとみられている。2022年10月時点で国内最大の刑務所であるニュービリビッド刑務所では、収容能力6345人に対して、その5倍近い2万9204人が収容されている。国内で矯正局が管轄する刑務所計7カ所には5万141人が収容されており、そのうち凶悪犯罪による受刑者は3608人いるとされている。
ルソン地方における隔離施設の候補地としては西ミンドロ州のサブラヤン刑務所・刑務農場が挙がっているほか、ビサヤ地方ではレイテ州アブヨグ町にあるレイテ地域刑務所などが候補地に挙がっている。(澤田公伸)