元気な児童の笑い声響く 公立校での全面的な対面式再開
全国の公立学校で対面授業全面再開。マニラ市の小学校でも児童の元気な笑い声が響いた
すでに限定的な対面式授業に切り替えていた学校も多い中、教育省は2日、前々から公言していた全国公立学校における対面授業の全面的な再開を実施した。首都圏マニラ市のマンモス校「ラファエル・パルマ小学校」では、万聖節の期間中で登校児童はまだ少ない中、元気な児童の笑い声が響き渡り、「登校100%を目指して挑みたい」との校長先生の言葉も聞かれた。
マルコス大統領がこのほど、屋内でのマスク着用の任意化に署名したことを受け、教育省は1日に校内でのマスク着用も任意との方針を示した。一方、就学前の幼児部から小学6年までで、午前・午後の部で計約3100人が通うラファエル・パルマ小学校では、児童の半数以上が授業時にマスクを着用、教員はほぼ着用を続けていた。
日本のサムライもののアニメが好きなロデル・サンパン校長によると、コロナ禍を通じて在校生数に大きな変化はない。同校では10月28日に対面の「試験的な」全面再開に踏み切っていた。それ以前は毎週金曜にオンライン授業も並行で続けられてきた。対面授業は小学1~3年が週4日、5・6年が週5日で行われ、それが28日を機に全学年で月~金曜まで週5日制の登校授業に変わったという。
サンパン校長は「私たちの学校では国連が提唱する多様性を重視した学習環境の実現に取り組んでおり、知的障害児向けのクラスに加え、週末にはムスリム児童へのアラビア語やイスラム教の価値観に沿った学習の機会も設けている」と取り組みを説明した。また「これを機に全校児童の登校が100%達成されることを願っている」と希望を語った。
マニラ市に属しながらも、最寄り地区3カ所がマカティ市に該当していることから、マカティ市からも多くの児童が通っている。同校のパウリン・ロメロ先生によると、学校の規模は4段階で「最大」に当たり、1学年30~40クラスを抱える。しかし、万聖節の最終日に当たっている2日は「授業があることすら知らない児童もいるのだと思う。今日はまだ登校児童が少ない」と明かした。
帰り際、午前の授業を終えた児童が徐々に屋根で覆われた広大な中庭空間に集まってくる場面に出くわした。その一角の木陰でマスクを取り、クラスメートと雑談してはしゃぐ児童も見られた。
フィリピンでは世界最長とも言われる防疫措置の下、未成年者は長らく外出すら禁じられてきた。昨年末から徐々に対面授業の実施校が増えており、今年8月の新学期からは実際多くの学校が対面授業を再開していた。
対面式が世界で最も遅れていた国に、再び児童のやんちゃな笑顔や遊び回る姿が戻ってきたことが、何より眩しく感じられた。(岡田薫)