平和への誓い新たに マッカーサーレイテ上陸78周年
レイテ島上陸78周年式典が3年ぶりに対面で開催。大統領が紛争の平和的解決誓う
レイテ州パロ町にあるマッカサーレイテ島上陸記念国立公園で20日、太平洋戦争中に連合国軍を率いたマッカーサー大将=当時=がセルヒオ・オスメニャ第4代大統領=亡命政府=を伴ってレイテ島に上陸し、旧日本軍からのフィリン奪回を開始した日から78周年を迎えたことを記念する式典が3年ぶりに対面で開催された。
マルコス大統領は、激戦で死傷した将兵の犠牲を追悼するとともに、国内外の紛争について対話によって平和的解決を目指すと宣言した。
大統領は「78年前、この砂浜は人類がなしうる最悪の事態が引き起こした恐怖と流血を目撃した」と戦争の惨禍を追憶。従軍した兵士に対し「平和と自由のために戦った彼らの犠牲に報いることなど到底できないが、彼らが始めた事業を継承し、その英雄的行為をたたえ、記憶に刻むことはできる」と述べ、先人の犠牲を自由と平和を維持すための不断の努力の糧とすることを誓った。
その上で、退役軍人の貢献と犠牲を改めて認識し、現政権でも退役軍人福祉への取り組みを継続すると約束した。
式典には松田賢一臨時代理大使も参席。戦争の犠牲者に哀悼の念を表するとともに、ウクライナ問題や台湾情勢を含む厳しい安全保障環境の中で、共通の経験と価値を有する比と、地域の平和と安全のために協力していくと述べた。
さらに同臨時代理大使は、コロナ禍からの経済復興を課題とするフィリピンおよびレイテ州に対し、日本政府は発展のための協力の用意があることを表明した。
メアリーケイ・カールソン駐比米国大使は「われわれは献身し、全力を捧げ、ここに至った」というマッカーサー大将が上陸後行ったスピーチの一節を引用。その上で「この言葉は今も響き続けている。比米両国は献身的な友人であり、パートナーであり、同盟国。自由で開かれ、繁栄する安全な世界を確保するための責任を果たす」と述べ、激戦の上での勝利の経験に基づき、現代の安全保障問題に取り組む決意を表明した。
1942年に日本軍の猛攻を受けコレヒドール島からケソン元大統領らと脱出し、オーストラリアに逃れたダグラス・マッカーサー大将は「アイシャルリターン」(私は戻ってくる)との言葉を残す。1944年10月20日にレイテ島に上陸した際の演説では「私は戻ってきた。比人の日常生活を支配する敵の足跡を破壊するという使命に献身し、全力を捧げ、ここに至った」と述べている。(竹下友章)