来月に公立完全対面授業再開 私立は混合・遠隔容認が決定
教育省は公立学校に来月からの対面授業完全対面復帰を指示。私立学校は対象外に
教育省は17日、来月2日から公立学校に対し完全な対面授業への復帰を命じる教育省令第44号を出した。ただし、私立学校については対象外とされ、完全対面、対面・遠隔混合、完全遠隔から選択することが可能となった。7月11日付で出された同省令第34号では公立・私立ともに来月2日までの完全対面化が予定されていたが、私立学校団体からの反対の声を受け、公立のみに限定された。
18日の英字紙インクワイアラーによると、教育省は私立を例外とした理由について「混合授業を最適化し制度化した学校、オンライン学習に大規模投資を行った学校などがあり、個別事情を鑑みて授業方法については任意とした」と説明した。
その一方で同省は「私立学校の児童・生徒の保護者は、対面授業がオンライン授業より優れているという科学的知見を見過ごすべきではない」と対面授業の優位性を強調した。国家経済開発庁は昨年、「遠隔授業の教育効果は対面授業の37%」との試算を発表している。
私立学校管理者協会連合会(FAPSA)のカシラグ会長は声明で「保護者も新型コロナへの感染を恐れて子どもを通学させることをためらっている。今回の決定で対面の完全再開で発生したであろう多くの問題を避けることができる」と歓迎の意を表した。
同省令によると、公立学校の中でも、災害などで休校になった学校、代替的教育法(ADM)=中退者など向けの遠隔を取り入れた代替教育=に加え、地域教育局長によって例外と指定された学校も完全対面授業の例外となる。
教員組合を母体とする団体ACTは声明で「完全対面化は必要かつ喫緊」としながら「1本の命令で実現できることではない」と指摘。ニューノーマル(新常態)に対応する完全対面授業を実施するには「設備も教職員数も不足しており、実現は困難。多くの学校が例外校にしてもらおうと訴え出ている」と現状を説明した。
フィリピンではコロナ禍前から授業を午前と午後の部に分けたり、回廊上で授業を行うなど、教室不足に対処するため苦肉の策が取られていた。ニューノーマルでの完全な対面授業再開を前に、古い問題が再度噴出している。
今学期が始まった8月22日の時点で全国の小中高校のうち46%が完全対面、51・8%が週3日以上対面の混合授業、残りが遠隔授業となっていた。(竹下友章)