屋外でのマスク着用任意へ IATFが勧告し大統領も承認
IATFは全国で屋外におけるマスク着用を任意とする方針を勧告。大統領は口頭で承認
新型感染症省庁間タスクフォース(IATF)は7日、比全土でこれまで実施されていた屋外におけるマスク着用義務を緩和し、任意とする方針を勧告した。外遊中のマルコス大統領が帰国し、正式な大統領令が出されたのちに施行される。2020年3月以降続いてきたマスク着用義務が2年半ぶりに撤回される見通しとなった。
アンヘレス大統領報道長官は同日、「換気の行き届いたオープンスペースや混雑していない屋外では、マスク着用は任意とすることになった」とした上で、「しかし、特に高齢者と基礎疾患を持つ人については、引き続き屋外でもマスク着用を強く奨励する」と念を押した。
ベルヘイレ保健相代行によると、アバロス内務自治相が今回のマスク着用義務緩和に関し、現在シンガポールに外遊中のマルコス大統領に電話をかけ説明したところ、大統領が口頭で承認したという。しかし、改めて大統領令が出された後に正式に施行されるとしている。
また、保健相代行は、電車やバスなど公共交通機関は常時混雑する場所とされ、マスク着用が任意とされる場所の対象からは外れる可能性があるとの見方を示した。
一方、屋内でのマスク着用義務について、同相代行は「比で追加接種の完了率が上がれば完全緩和に向けて年内にも試験的に実施する予定」と述べた。
フィリピンでは新型コロナ感染の拡大を受けて2020年3月以降、防疫措置が強化され、首都圏などでロックダウンが実施。夜間外出禁止令や飲食店・サービス業などの営業も厳しく制限されたほか、マスクに加えてフェイスシールドの着用も義務付けられた。しかし、コロナ感染が徐々に落ち着いてきたことや、コロナワクチンの接種が進んだことから、2021年11月15日にIATFがフェイスシールドの撤廃を勧告、ドゥテルテ大統領=当時=も即日に承認したことからフェイスシールドの着用義務が撤廃された。
一方、セブ市やセブ州の自治体首長らは早い段階から屋外でのマスク着用義務の任意化を施行するため市長令や知事令を発行したものの、その都度、内務自治省や保健省からの介入を受けて、マスク任意化がとん挫してきた。しかし、今回、外国人観光客に不評な屋外でのマスク着用義務政策の緩和をフィリピン観光省が提案するなどしたこともあり、一気にマスク着用義務の見直しにつながったようだ。(深田莉映、澤田公伸)