児童性的搾取280%増 世界最多で司法相「宣戦布告」
児童性的搾取件数が今年280%増加。性的虐待に対し政府が「宣戦布告」
ニッキ・テオドロ国連比国特使は23日、人身売買対策省庁間委員会(IACAT)の会見で、2022年の比における児童人身売買やオンライン猥褻(わいせつ)画像・映像販売など性的搾取件数が前年より280%増加し、引き続き「世界最多」に留まったと発表した。同会見でレムリヤ司法相は「比は性的倒錯者にとって楽園となっている」と警鐘を鳴らし、児童への性的搾取に対する「宣戦布告」を行った。
同相はデータについて「複数の国際機関の数値を総合した」と説明。また、オンラインでの性的搾取を直接行っているのは多くの場合「被害者の親」であり、その消費・買春者の多くが「欧州の人々」とした。
増加した要因について同相は、コロナ下における生活苦とデジタル化の同時進行のほか、今年から無査証滞在が再開された点も指摘。「(旅行客と)オンライン経由で児童売買春の取引を行うケースが増加した」とし「技術の進歩により、児童売買春が容易となり、より儲かる市場となっている」と説明した。
対策については「包括的なアプローチを採用する」と表明。情報通信技術省と提携し、オンラインでの支払い経路の特定、通信事業者に対する児童ポルノ配信サイトへのフィルター掛け要請などを含め「あらゆる措置を辞さない」と明言した。
会見には米国のリカード・ナバルタ大使館員も参加。米国は2018年に比国家警察と比米越境犯罪や児童への性的搾取問題に取り組むための覚書を取り交わしたことを紹介し、その上で「米国人含む外国人の比における児童買春を阻止し、比国民を啓発する最善の施策の策定に協力する」と述べた。また、協力機関を国家捜査局(NBI)、税関、出入国管理局、社会福祉開発省に拡大する手続きも進んでいることを明らかにした。(竹下友章)