ラップラーの登記取消し 証券取引委員会が確定命令
比証券取引委員会がネットメディアのラップラーの企業登記取消しを確定する命令を出した
フィリピン証券取引委員会(SEC)は28日、外国人投資家による国内メディアへの出資規制に違反しているとしてネットメディア、ラップラーの企業登記取り消しを決めた2018年1月の同委員会決定を再度、確定させる命令を出した。29日の英字紙インクワイアラーなど各紙が報じた。
ドゥテルテ大統領の大統領選当選に向けたネット工作部隊の存在や麻薬撲滅戦争などを厳しく批判する調査報道で知られ、現政権から複数の裁判で訴えられている社主のマリア・レッサ氏が昨年のノーベル平和賞を受賞するなどした国内有数のネットメディアに対する事実上の閉鎖命令になる可能性がありそうだ。
この命令を受けてラップラーのレッサ最高経営責任者は29日にオンラインで記者会見を開き、「われわれには様々な選択肢がある。メディア活動は通常通り継続するつもりだ」と訴えた。
また、同社の筆頭法律顧問であるフランシス・リム氏は29日、記者会見に参加し、「この命令に対する不服を裁判所に申し立てることができるだろう」との見解を示した。法廷闘争に持ち込みながら、メディア活動を継続する意向を示したものだが、裁判所に申し立てている間にも証券取引委員会が登記取消し決定を実施に移し、ラップラーを閉鎖させる可能性もあるとしている。
ラップラーに対する証券取引委員会による企業登記取消し命令については、控訴裁判所も2018年7月に概ね支持する判決を出している。19年9月には最高裁も控訴裁判所による判決を最終的な決定になると認める判断を下しており、ラップラー側は極めて厳しい立場に追い込まれたとみられるが、同社はまだ法的救済措置を求める手段があることを主張している。(澤田公伸)