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5月1日のまにら新聞から

国のためか自らのためか 腐敗と貧困という怪物との闘い

[ 810字|2022.5.1|社会 (society)|新聞論調 ]

 今から11日後、二極化し、常に救世主を求めてきたこの国は、良い統治を実現する指導者を選ぶため投票所へと足を運ぶことになる。1946年の独立以来、腐敗と貧困という怪物を終わらせるため、多くの大統領が生まれ、いずれもそれに失敗した。この2つは50年代後半、日本に次ぐ経済大国とされたこの列島のその後の発展を拒み続けてきた。  だからわれわれは、今回の統一選挙が異なる結果を生むとは考えていない。候補者たちのバラ色の公約とは裏腹に、実際のサービスの質はあまり期待しない方がいい。この国を平和と反映に導く救世主はどこかで機会を待っているという幻想は、そろそろ捨てた方がいいかもしれない。この国の苦境に即効性のある解決策はないのだ。  受賞歴のある俳優ジョン・アルシリャ氏が最近ある集会で、かつて自らが演じたアントニオ・ルナ将軍を体現して行った演説は、われわれの内なる琴線に触れた。「バヤン・オ・サリリ(国のためかそれとも自分のためか)」という言葉は、スペイン人、米国人、日本人に対して立ち向かった多くの英雄たちの愛国心を的確に表現するものだった。  その夜「ルナ」はある候補陣営のステージ上で、フィリピン国民に仕える人々を選ぶ力は自分たちにあることをわれわれに思い出させた。激動の歴史の中におけるルナ将軍のメッセージ「ビジネスか自由か、国か家族か選べ」というのは、ルナが闘うことなくあえて米国と同盟を組んだ人々に向けた問いかけだった。このメッセージは今日においてもタイムリーなものだ。  ルナ将軍は政府を抜本的に改革しようとしたが失敗した。比を偉大な国家にすることを目指した彼の致命的な間違いは、それを1人で夢見ていたことだ。当時の比人にはまだその準備ができていなかった。私たち一人一人が、国のために個人的な利益を捨てない限り、決して実現はできないだろう。(28日・トリビューン、マニー・アンヘレス、トリビューン紙共同編集社)

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