集団免疫の目標人口90%へ 接種対象者を未成年にも拡大
集団免疫獲得目標を人口の70%から未成年人口を含む90%に上げるよう専門家会議が提言
ベルヘイレ保健次官は4日、新型コロナ変異株の流行でワクチン効果が下がっていることを踏まえ、集団免疫獲得目標を人口の70%から未成年人口を含む90%に上げるよう、専門家会議から提言があったと発表した。9月中旬をめどに始まる邦人への接種事業にも比の基準が適用されるため、決定となれば邦人対象者にも影響しそうだ。
ベルヘイレ次官は「接種が完了しても感染することはあるが、重症化や死亡リスクは下げられる。接種はなお有効な手段だ」と強調、接種事業を一層推進する姿勢を見せた。接種目標を人口の90%とした場合、フィリピン全人口の30・04%を占める15歳未満(2020年)が対象に含まれることは確実となる。
また上院義務教育委員会のガチャリアン委員長は5日までに「対面授業をするため、十代への接種を進めるべきだ」と指摘、各自治体に未成年者への接種準備を急ぐよう求めた。
同委員長は対面授業再開の賛否について世論調査会社パルスアジアに調査を委託。6月7〜16日に全国1200人を対象に実施した同調査によると、対面授業の再開に「賛成」44%、「分からない」33%、「反対」23%だった。「反対」の理由は「外出は感染の危険がある」90%、「児童への接種が行われてない」57%だった。
比食品医薬品局は5月28日、米ファイザー製ワクチンの未成年者への緊急使用許可の対象を16歳以上から12歳以上に拡大。今月3日には12歳以上への米モデルナ製ワクチン投与にも緊急使用許可を出したと発表していた。
保健省は2日に集団免疫到達時期の見込みを「来年2月」と発表していたが、集団接種のハードルが高まったことで、さらに後ろへとずれ込むとみられる。(竹下友章)