ホロ島で国軍輸送機墜落31人死亡 民間人2人が地上で巻き添え 着陸に失敗 初年兵犠牲
スルー州ホロ島の空港に着陸しようとしたフィリピン国軍機が墜落、巻き添えになった民間人2人を含む31人が死亡した
スルー州ホロ島パティクル町で4日午前11時半ごろ、同島の空港に着陸しようとした国軍のC130輸送機が着陸に失敗して墜落、炎上した。
国軍によると、輸送機には操縦士3人を含む陸軍兵士96人が乗っており、4日午後5時半までに地上で巻き添えになった民間人2人を含む31人の死亡が確認された。兵士50人が負傷して救助されたが、残り17人の捜索は続いている。死者はさらに増える恐れがある。ほかに民間人4人が地上で負傷したとの情報もある。
同島ではイスラム過激派による爆弾テロが近年相次いでいるが、国軍は今回の墜落についてテロなどではなく事故だとしている。
国軍撮影の写真によると、墜落現場はココヤシが茂る林の中で、5125と書かれた垂直尾翼を残し、機体は粉々となっている。国軍スルー合同対策本部によると、複数の兵士が、墜落前に機体から飛び降りたとの目撃情報もあるという。
国軍のソベハナ参謀総長は、事故機は「滑走路を逸れたため、推力を取り戻そうとしたが、パワーが足りず、バランガイ(最小行政区)バンカルに墜落した。とても不幸で悲しい日曜日だ」と語った。ロケ大統領報道官も「深い悲しみにある」とした上で「救助活動は続いており、救助された人たちの回復を祈っている」と述べた。
同機は首都圏パサイ市のビリャモール空軍基地からミンダナオ島カガヤンデオロ市のルンビア空港へ飛び、兵士を乗せた後、ホロ島に向かっていた。ネットメディア、ミンダニュースによると、同機にはブキドノン州マライバライ市で第4歩兵師団による6カ月間の訓練を終了した初年兵149人のうち、第1陣の50人が乗り合わせていた。カガヤンデオロ市や東ミサミス州出身者で構成され、イスラム過激派アブサヤフが拠点とするスルー州の国軍第11歩兵師団に配属の予定だったという。
また、4日の英字紙インクワイアラー(電子版)によると、事故機は今年1月に米国の対外軍事資金援助プログラムを通じて、比空軍に売却された2機のうちの1機。売却価格は25億ペソだったが、うち比は16億ペソを支払い、残りは米国が負担していた。
最近の国軍の航空事故としては、先月23日にもパンパンガ州クラーク空軍基地を出発した夜間飛行訓練中のブラックホーク型ヘリコプター1機が、タルラック州で墜落、乗員6人全員が死亡している。(岡田薫、エラ・ディオニシオ)