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比は「労働者にとって最悪の国」 国際労働組合総連合調査 5年続けてワースト10

[ 815字|2021.7.4|社会 (society) ]

国際労働組合総連合が発表した2021年グローバル・ライツ・インデックスによると、対象149カ国中、比は5年連続で「労働者にとって最悪の国10カ国」に入った

 労働者の権利が保障されている度合で世界149カ国をランク付けした国際労働組合総連合(ITUC)の2021年「グローバル・ライツ・インデックス」によると、フィリピンは5年連続で「労働者にとって最悪の国10カ国」(ワースト10)に入った。

 同インデックスは、集会や言論の自由、個人のプライバシーに対する政府や企業による監視、団体交渉権の侵害など、労働者の人権状況を評価してまとめられ、6月30日に発表された。コロナ禍を利用した雇い止めなど、パンデミック(世界的大流行)による労働環境の悪化も指摘されている。

 比はドゥテルテ政権が始まった翌年の17年からワースト10入りが続いている。比はブラジル、コロンビア、グアテマラ、ミャンマー、ナイジェリアと並んで労働組合員が殺害されている6カ国のうちの1つ。比では労働運動関係者の逮捕や殺害などの迫害のほか、労組の設立や加入の権利への侵害なども報告されている。

 報告書によると、調査対象となった149カ国のうち、スト権が妨害ないし侵害されている国が87%に上った。団体交渉権は79%の国で、組合の設立や加入の権利は74%の国で、それぞれ妨害・侵害されている。さらに68カ国で労働者の恣意的な逮捕や拘束が発生しており、45カ国で労働者への暴力が記録されている。

 今年新たにワースト10入りしたのは、ルカシェンコ大統領による長期独裁が続くベラルーシと、2月の国軍によるクーデターで民主主義が機能不全に陥っているミャンマー。このほか、バングラデシュ、ブラジル、コロンビア、エジプト、ホンジュラス、トルコ、ジンバブエも、昨年に続いて名を連ねた。

 ITUCのシャラン・バロウ書記長は声明で「インデックスはコロナ下で、経済やコミュニティーの機能維持のため、最前線に立っている労働者に対し、反組合的な行動計画を打ち出している政府や企業の恥ずべき姿を明らかにしている」と述べた。(岡田薫)

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