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3月17日のまにら新聞から

遠隔混合式 9割が「難しい」 対面学習却下で問われる政府

[ 1399字|2021.3.17|社会 (society) ]

遠隔授業についてSWS調査で9割が「難しい」と回答

 民間世論調査機関、ソーシャル・ウエザー・ステーション(SWS)による調査で、5〜20歳の若年層を抱える家庭の89%が、学校の遠隔混合学習方式は従来の対面式学習よりも難しいと回答。対象家庭の60%が、従来よりも子どもの学習指導に時間を割いていることも分かった。対面式授業を認めない政府の対応が問われそうだ。

 公立小中高校の対面式授業については、教育省が昨年から新型コロナウイルス感染の収まっている一部地域を対象に試験的に再開するよう繰り返し提案してきた。対面授業を安全に再開するためのデータ集めが狙いだったが、ドゥテルテ大統領はそのたびに拒絶。国連児童基金(UNICEF)によると、昨年3月以降、対面授業が再開されていない国は東アジア・太平洋地域でフィリピンだけで、世界でも学校を再開していない国は他に13カ国しかない。

 ▽母親が家庭教師

 混合学習方式は、コロナ感染防止のため、児童生徒との接触を避け、教材や電子機器を利用した家庭学習やオンライン授業などを組み合わせた遠隔学習方式。昨年10月上旬から実施された。今月13日に発表されたSWSの調査結果によると、混合学習方式を従来の対面式と比べた質問に、「今の方がはるかに難しい」との回答が61%、「今の方がやや難しい」が28%に上った。「今の方が簡単」は6%、「どちらともいえない」は5%だった。

 対象家庭のうち、子どもの学習指導に割く時間について「非常に多くなった」が43%、「やや多くなった」が17%。「やや少なくなった」は18%、「かなり少なくなった」は10%、「どちらともいえない」が11%。子どもの勉強をサポートする人は母親が57%で、きょうだい13%、父親6%、祖父母5%、おじ・おばが4%、いとこ2%など。「学習を手伝ってくれる家族はいない」の回答も9%あった。

 ▽紙代節約から?

 16日付英字紙マニラブレティンによると、教員組合を母体とする政党ACTは15日、予算の制約から印刷教材を減らし、オンライン学習を増やすという教育省の計画が進められており、実現すると、生徒と教師の両方にとり「より困難な時代がくる」と批判した。

 ACTによると、同省はオンラインプラットフォーム「DepEdコモンズ」の利用者を現在の950万人から1500万人に増やす方針。

 教育省が教材印刷費用に500億ペソを要求したが、政府の割り当ては150億ペソだったため紙代を減らすためではないかとACTは指摘。バシリオ事務局長は「サポート用の予算がないのに、貧しい家庭にオンライン学習への移行を強いるのは残酷だ」と述べた。

 ▽教育格差拡大

 ブリオネス教育相は2月にも、同省の調査で「生徒、親、教師の半数以上が、学校での対面授業を望んでいる」とし、限定的な対面授業の再開を大統領に再提案した。しかし、大統領は同月下旬、「まだ誰も国内でワクチン接種を受けていない中、児童・生徒や教師らの命を危険にさらすことはしたくない」と却下した。

 これに対し、議会上院は今月2日、低リスク地域で公立小中高校の対面授業を即時、試験実施することを勧告する決議を採択。決議は「長期にわたるコロナ禍による学校閉鎖は、最も弱い立場で取り残された児童生徒とその家族に深刻な影響を与え、既存の教育格差を拡大させた」と分析している。(谷啓之)

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