邦人駐在員ら 100人以上戻れず 年末に帰国後 比の変異種対策で 商工会は入国禁止解除要請へ
比の年末の新型コロナ変異種に伴う外国人入国禁止で駐在員ら100人以上が比に戻れず
昨年12月30日からフィリピン政府が新型コロナ変異種の感染者が確認された国からの外国人の入国を全面禁止した影響で、年末に帰国した多数の日本人駐在員らが比に戻れずにいる。フィリピン日本人商工会議所の藤井伸夫副会頭は、戻れなくなった駐在員らは「少なくとも100人以上はいるはず」とみている。
比政府は12月17日に就労ビザ「9g」を持つ一般企業駐在員が出国後、条件付きで比への再入国を認める規制緩和を発表。これを受けて日本で年末年始の休暇を過ごした駐在員は多かった。しかし、変異種をめぐる突然の規制で休暇後も日本で立ち往生、比に帰国できるまで本社に出勤している人もいる。
商工会議所でも杉浦宏事務局長が年末に帰国、再入国ができなくなっている。「3月に帰国させた妻子との再開を楽しみに一時帰国したが、戻れなくなってしまった。『17日のマニラ便を予約しました』というメールが来たばかり」と藤井副会頭は話す。ほかにも現地法人社長などを務める会議所理事少なくとも2人が比に戻れなくなっているという。
▽トップ不在に
藤井副会頭によると、昨年末には、これまでは一時帰国の機会があっても部下に譲ってきた現地法人社長、支店長らが多数帰国しており、トップが比不在になってしまった会社も多いという。
日本人商工会議所は欧州商工会議所などとともに比政府に対し、入国禁止期間を15日以降延長しないよう要請するとしている。
日本大使館も「比政府に再入国解禁のお願いを続けている」と話している。
▽延長の可能性も
しかし、メディアルディア官房長官は8日、対象国からのフィリピン人を除く入国禁止を「15日以降も継続すべきだ」と述べており、入国禁止対象国も12日に中国を含む33カ国に拡大された。15日以降も入国禁止が延長される可能性はある。比政府は14日に延長か否かを発表する見込みだ。
駐在員らの出国と比再入国に関し、比政府は経済特区企業や比の国家的重要プロジェクトにかかわる企業に対しては昨年の早い段階から認め、その後、投資家に与えられる「9d」査証を持つ人、一般企業駐在員に与えられる「9g」ビザを持つ人へと徐々に規制を緩和してきた。(石山永一郎)