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6月12日のまにら新聞から

コロナ禍でも続く人権侵害 国連報告がつきつけた現政権の暴力

[ 735字|2020.6.12|社会 (society)|新聞論調 ]

 国連人権高等弁務官事務所は4日、比の人権状況に関する報告書を発表した。現政権の「違法薬物戦争」が大きく取りあげられ、これを「政権が治安対策と違法薬物対策を偏重し、市民の殺害や恣意的な拘束、批判への攻撃といった人権侵害を引き起こし、不処罰を助長した」と断じている。

 報告書は政府の資料や警察の報告、写真や映像、被害者らへの聞き取りなどを元に作成された。違法薬物関連の犯罪の疑いで殺害された市民の数は、公式には2016年から累計で8663人だが、実際の犠牲者はその3倍との推計もある。2015〜19年には248人の人権活動家や法律家、ジャーナリストが殺害され、殺人事件で有罪となったのはたった1件。武器の使用や殺害を肯定する政府高官らの発言や政策が、警察の暴力を許す結果になったと分析している。

 また報告書は、警察による証拠捏造の疑いにも触れている。2016年8月から翌年6月の間に、首都圏で展開された25の作戦で計45人の市民が殺害された。警察は、犠牲者のものとみられる覚醒剤や銃を回収したとするが、同一のシリアル番号の拳銃が別々の事件で「発見」されていた。同じ拳銃2丁が5件もの異なった事件で見つかるケースもあった。

 ロケ大統領報道官はこの報告を、事実無根と拒絶した。しかし、防疫強化措置中もこうした殺害は続いた。非営利メディアのベラ・ファイルズによると、3月15日から5月5日までの間に違法薬物に関する殺害が35件あった。5〜6月には東ネグロス州のラジオ番組記者やコタバト市の市長秘書官らが暗殺されている。首都圏では、禁止されているはずのバイクの2人乗りによる殺人が続いた。殺害者はなぜ警察や軍の検問を切り抜けられたのだろうか?(9日・インクワイアラー)

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