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5月15日のまにら新聞から

コロナ禍で露呈した教育格差 全ての子どもに学びの機会を

[ 753字|2020.5.15|社会 (society)|新聞論調 ]

 新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、3月に休校措置がとられた時、オンライン授業への移行が必要だと考えられていた。しかし、フィリピンには先進国のようにオンライン教育を提供できない事情がある。それは、コンピューターの所有やインターネットアクセスの格差だ。多くの家庭にはパソコンなどがなく、必要な時にインターネットカフェに行くだけだ。しかし共有のパソコンはウイルスの温床になりかねず、ネットカフェは閉鎖中。そもそも、ネットカフェに行くことすら「ぜいたく」だという子どもも多い。

 結局、多くの学校が、封鎖前の成績にかかわらず全生徒の進級を認めて今学期を終えた。これには、頑張った生徒に対して不公平だとの意見もあるが、非常時に成績にこだわるべきではないとの見方が大勢を占めるようだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大は、我々の社会の不平等を深刻化させた。少数の裕福な人々は在宅で快適に仕事ができ、収入も確保される。彼らの家族は一日中家にいて、好きなネット動画を観ながら、食べたいものをオンラインで注文できる。しかし貧しい家庭では、真夏の暑さのなか、皆が狭い家で窮屈に過ごすしかない。多くは仕事をなくし、政府の支援だけが頼りだ。こうした家庭の子どもたちには、パソコンを用意してオンライン教育を受けることなど無理な話だ。

 教育省によると、新学期は8月に開始するという。しかし8月に事態が改善しているかどうかわからない。国民の特定の層が問題に対処できる一方で、一定の国民は困難を乗り切れないでいる場合、どうして国全体が回復する力をもてるだろうか。学ぶために幾多の障害を乗り越えなければならない子どもたちの問題こそ、優先課題のはずだ。その障害を取り除く義務を第一に負っているのは政府だ。(13日・スタンダード)

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