必要のない挑発はやめよ OFW巡る台湾への比政府介入
ロケ大統領報道官はそんな事を言う必要があったのだろうか。ある比人介護士を台湾から強制送還するよう、比労働雇用省の海外在住担当官が、厚顔無恥にも働きかけたことで比と台湾との関係がぎくしゃくした際、報道官は取り繕ろうと次のように言ったのだ。「我々はこの比人介護士の問題を台湾の裁量に任せる。というのも強制送還と言う措置は実際に台湾当局によってなされるべきであり、この問題をすべて台湾および中国の決定に任せる。台湾は中国の一部であるから」と。
この恐ろしいほど無神経な発言に対して、比の事実上の大使館であるマニラ経済文化事務所(台北)のバナヨ所長が痛烈に非難した。同氏は放送局ANCのインタビューで「強制送還が受け入れ国側の特権であることを認めたのは良しとしても、なぜ台湾は中国の一部だなどと必要のない文言を加えたのだ。16万人の比人就労者を平等かつ公平に扱ってくれている国の感性を傷つける目的は何なのか」とした上で、「台湾は我が国が災害などに見舞われた時にいつも支援してくれるなど友好関係を築いてきた。それなのになぜ彼らを挑発して怒りを買うのか」と問うている。
台中の比在外公館付きの労働担当官は最近、ドゥテルテ大統領のコロナ対策を非難する悪意ある投稿をSNSにしたとして、名誉棄損罪での訴追をちらつかせて比人介護士の強制送還を求め、彼女の兄弟や雇用主も召喚して強制送還を迫った。これを受けてバナヨ氏は台湾当局に謝罪していたのだ。台湾政府は、外国人労働者が市民待遇を受けおり、表現の自由を含め、彼らの権利や利害は国内法で保護されていると主張。介護士が働いている地区の労働当局代表も、本人の身辺警護のために警察のパトロールを強化するよう政府から指示されたとしている。
ロケ報道官は国として「一つの中国」政策を取っていると反論しているが、ではなぜ大統領府は傘下に同経済文化事務所を維持しているのか。ドリロン上院議員は正しく次のように言っている。「海外の労働担当官は比人就労者の福祉向上のために働くのが職務。彼の行為は無知も甚だしく、比政府に恥をかかせた」。(5日・インクワイアラー)