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4月11日のまにら新聞から

官僚主義が飢餓を拡大 コロナ支援遅れ

[ 648字|2020.4.11|社会 (society)|新聞論調 ]

 首都圏ケソン市で防疫強化措置にもかかわらず食糧支給や経済支援がないとして150人ほどの住民が抗議行動を起こした今月1日、大統領が演説で「支援は遅れているが、そのうちに来るので我慢してくれ。君たちが飢えで死ぬことはない」と訴えた。貧困層への政府の支援が遅れていることを大統領自身が認めた形だ。

 大統領は緊急支援の一つである現金支給事業を社会福祉開発省(DSWD)に任せた。貧困世帯に5千〜8千ペソを配るという事業だが、迅速かつ効率的に支給する管理が出来ていないことが判明している。

 予算管理省は2日に1カ月目の費用として1千億ペソの予算を支出したが、3日時点でDSWDが支出したのは5億ペソ分のみ。労働雇用省も、失業者に対する1人当たり5千ペソ、総額15億ペソの現金給付事業でまだ1割しか支給できていない。

 DSWDの現金支給事業では、同省から地方自治体を通じて受給資格者に社会改善カードが配られ、それに記入した後に国から市町、さらにバランガイへと送金される。しかし、社会改善カードを受給する前にも、バランガイ議長の推薦を受けるなどの必要がある。しかも同省は2015年度の国勢調査に基づいて地方自治体ごとの受給者の人数枠を定めている。実際の人口より少ない人数が対象となり、受給できない世帯も多い。このような官僚主義は日々、飢餓が続く貧困層にとって最も必要のないものだ。首都圏のあちこちで「我々は腹を空かせている」というプラカードがこれからも増えていくだろう。(7日・インクワイアラー)

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