教育の質の低下が止まらない 学習到達度調査で比が低迷
経済協力開発機構(OECD)による15歳生徒の学習到達度調査(PISA)の結果が発表され、フィリピンが英語と数学、科学の分野で下から2番目だと判明した。比の学生たちが今後、世界で活躍し、生産的な生活を送り、十分な市民権を行使できるようになるのか、その希望を持つことも難しいのだ。
このニュースと前後してインド出身のサンダー・ピチャイが米巨大IT企業のグーグルの親会社であるアルファベット社の最高経営責任者に任命されたというニュースが入ってきた。ピチャイ氏はインドでもミンダナオ地方のような貧困地域が多いタミル・ナドゥ州の出身だ。比の学生たちが希望を持てない一方で、なぜ彼がグローバル・リーダーになれたのだろうか。
それは教育だ。インドは初代首相のネルー時代から若者への教育に熱心に取り組んできた。テクノロジーから金融までの専門領域の教育を徹底し、シリコンバレーやウォールストリートに卓越した人材を送り出している。ピチャイが学んだインド工科大学だけでも半導体大手のサン・マイクロシステムズの共同創設者であるヴィノー・コスラやソフトバンクのニケシュ・アローラ元副社長などを輩出している。
インドは混沌としていて政治的に不安定な点は比と似ている。しかし、世界的な先駆者を生み出しているのは比と対照的だ。
比で今回の学習到達度調査の結果に気を留めた官僚や政治家がいただろうか。憲法では教育を優先的プログラムと位置付けている。しかし教育に十分な予算が投じられていない。ドロップアウトも多く、栄養不良の子どもが8割を占めるとの報告もある。
2020年度予算でも教育省は6万4千以上の教室と4万3千人の先生の新規雇用を概算要求に入れたが、多くが認められていない。高等教育予算も前年比で22%減少した。予算で優遇されているのは疑わしいインフラ事業なのだ。教育の質の低下は避けられない。(15日・マニラタイムズ、マーレン・ロンキーリョ)