教会の鐘は鳴り続けるのか ネグロス島の殺害事件多発で
ネグロス島各地にあるカトリック教会が7月28日から毎晩8時に一斉に鐘を鳴らすという。この島で続発する殺人事件を止めるよう訴えるための鐘の音である。
島内のサンカルロス大司教区のアルミナサ司教は「この鐘の音で人々の祈りを集め、神の御心が犯罪者の心に触れるよう、また責任を持つべき政府機関が、この連続殺人に効果的に対処するように願う」と述べている。
このアピールが出た週に弁護士や校長、教育省職員、自治体職員、そして1歳児を含む15人ほどが殺害されている。
このような広範囲の殺人事件が起きた原因として、ある関係筋はドゥテルテ大統領の覚書命令第32号を挙げている。この命令は、国内各地で発生していた散発的な暴力事件を抑えるために、昨年11月に発令され、軍と警察に対し違法な暴力を制圧するためのガイドラインを定めている。
その後、3月14日にはネグロス島で14人の農民が殺害される事件が発生した。教員組合ACTによると、この命令が出て以降、36人が殺害され、数百人が身柄を拘束され、数千人がハラスメントを受けている。犠牲者のほとんどが土地なし農民で、その他に人権活動家や、最近では教員ら教育関係者の犠牲が増えている。
ある人権団体によると、ネグロス島では2017年1月以降70人以上が超法規殺人の被害者となっている。殺人事件にはさまざまな背景があるかもしれないが、人の命が失われることは、それ自体意味のない暴力であり、人々は殺人を恐れるのではなく、むしろ怒りを表に出すべきだ。
自分たちがいかに自分の利益を追い求めているか、その一方で他人の人権に関心を持たず、人間としての価値を見失っているかを鐘の音はわれわれに思い出させるだろう。鐘は殺害が止むまで鳴らし続けるという。ネグロス島の人々だけでなく、他の地域のわれわれも、この鐘が鳴り続けないよう希望する。(7月28日・スタンダード)