慰安婦「少女像」撤去 設置から2日 市の判断か
ラグナ州サンペドロ市の介護施設内に設置された慰安婦「少女像」が撤去される
ルソン地方ラグナ州サンペドロ市の介護施設内に同市や韓国側によって設置された慰安婦「少女像」が12月30日、設置から2日で撤去された。サンペドロ市関係者は1日午後、「市のエンジニアリング部門が撤去した」とし、撤去の理由など詳細は3日に市役所業務が開始した際に市が正式に説明するとした。
像が設置されていた高齢者女性のための私営介護施設の修道女によると、30日午前6時ごろには像全体に白い布がかぶせられ、正午までには像の横の碑文などを含め台座部分から全て撤去されていた。像の設置場所は私有地内だったという。
修道女は「私たちに詳しい説明もなく像は設置され、知らぬ間に撤去された」と話している。
在比日本大使館は31日、像撤去を確認したとしたが「経緯は承知していない」としている。設置を受けて大使館は30日、「わが国政府の立場と相容れず極めて残念」とし、大統領府と外務省に申し入れを行っていた。
比人元慰安婦と支援者の団体「リラ・ピリピーナ」は1日の声明で「なぜ元慰安婦の苦しみを表現する像の設置が許されないのか」と、サンペドロ市の像撤去をめぐり比日両政府に抗議の意を伝えている。
パネロ大統領報道官は少女像について31日夜、撤去については触れずに「私有地に民間の費用により建てられた像に関しては、憲法で表現の自由が保証されている限り、政府は制止したりすることはできない。碑文でも平和と女性のエンパワメントのための像とあり、マニラ湾岸に建てられた慰安婦像とは別だ」との声明を発表。
一昨年12月に設置、昨年4月に撤去されたマニラ湾岸の慰安婦像について同声明は「既に議論が重ねられてきたセンシティブで暗い戦争中の出来事をめぐる像で、公有地に建てられていた。大統領が説明した通り、過度に問題を政治化することは日本の反感を買うだけ」とも指摘した。(冨田すみれ子)