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6月29日のまにら新聞から

比の子供たちの劣悪な収容所 米国の不法移民親子引き離しに思う

[ 763字|2018.6.29|社会 (society)|新聞論調 ]

 トランプ米大統領により、米国に入国した不法移民の親子を引き離すという政策が実施され、多くの子供たちが親とは別の収容所に入れられた。しかし、教会関係者や政治家、市民や国際社会から子供への人権侵害だと強い批判が巻き起こり大統領は撤回を余儀なくされた。当初、子供たちはウォルマートの倉庫内に設けられた収容所に入れられた。中には親が南米の出身地に強制送還され、子供が米国の収容所にとどまり続けているケースも出た。約2500人の子供が親から引き離されて収容されたという。

 トランプ大統領は自身の妻や過去の大統領の妻たちから批判が出ていてもこの政策をなかなか変えなかった。メキシコとの国境沿いに巨大な壁を建設する事業に250億ドルの予算をねん出するという下院法案の通過を強く望んでおり、この親と引き離した子供たちをある種の人質として利用しようとしたとの批判も出ていた。

 フィリピンではどうか。首都圏や地方の子供向けの収容施設を訪問した人はその劣悪な環境にショックを受けるだろう。犯罪に関わったり養育放棄された子供たちの一時収容施設は「希望の家」と呼ばれているが、そこには希望はない。鉄格子があったりする拘置所のような狭い部屋に栄養失調の子供たちが押し込められている。狭い空間に20人ほどの子供がおり、トイレはあるが、すぐに詰まる。強烈なふん尿の臭いが漂い、子供や訪問者は窒息しそうだ。教育はもちろん医療などのサービスもほとんどない。年長の子供や警備員らに性暴力を受けるケースもある。

 このような収容状況は国内法でも違法なのだが、NGO関係者やソーシャルワーカーなどを除けばだれも関心を持たない。比から見れば、トランプ大統領によって引き離された子供たちの収容所はまるで天国のように映る。(24日・タイムズ、シェイ・カレン神父)

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