日本語教育で就労も後押し 八戸学院カーテル高が開校 比タルラック州
青森県八戸市の学校法人光星学院、タルラック州に「八戸学院カーテル高校」を開設
青森県八戸市の学校法人光星学院(法官新一理事長)は13日、ルソン地方タルラック州サンマヌエル町に「八戸学院カーテル高校」を開設した。日本語教育をカリキュラムに盛り込み、卒業生の日本への進学と就労も後押しする。
同日午前の開校式典で法官理事長は「比の生徒の潜在力を最大化し、後に日本で就学・就職する機会を育みたい」と開校の意義を語った。
学院は同町にあった私立カーテル高校(生徒約500人)を運営するカーテル科学教育財団に出資する形で協定を結び、校名を変更した。
高校3〜6年(日本の中3〜高3年に相当)までの4学年の生徒に週3時間、日本語を第二外国語として履修させるほか、書道や茶道など日本文化の課外活動を奨励、柔道の体験授業もカリキュラムに加える。
13日に行われた日本語のデモ授業では日本人と比人教師によって「おはようございます」など日本語の挨拶が指導された。授業を受けた高校2年生のクリスティーン・リリエラさん(15)は「いつかは日本に行きたいので、日本語を勉強するのは楽しみ」と話した。
光星学院が運営する八戸学院短期大学への比人の進学も企業による奨学金などで支援し、卒業後、青森県内で働き手が不足しているITや介護分野で就労を支援する。
訪日するために多額の借金を抱え、入管法が定める1週間28時間以内を超えてアルバイトをする外国人留学生も日本には多いことから「勉強に集中しやすい環境を作り、就職後の定着率も高める」ことも狙いとしている。
開校は、同学院が大学生の留学先としてカーテル科学教育財団の英語学校と契約したことをきっかけに、比の生徒らを将来の働き手として日本に呼べないかと学院側が働きかけて実現した。
日本語指導は日本人教師1人を含む3人が行う。卒業時には日本語能力試験N4〜N5の水準を目指す。八戸学院在学生の比への英語留学も奨励し、同財団をその受け皿にする。
今後について法官理事長は「まだまだ道は長いが、財団とはしっかりとした関係があるので、それ生かして責任を果たしていきたい」と抱負を語った。
同学院は現在、八戸学院光星高校専攻科で介護福祉士を養成しており、短大にも介護関連学科新設を予定しているほか、比でのさらなる高校・大学の新設も構想しているという。(森永亨)