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5月24日のまにら新聞から

戒厳令は「平和もたらさない」 布告から1年で抗議集会 人権侵害など訴え

[ 1036字|2018.5.24|社会 (society) ]

戒厳令布告から1年。ミンダナオ地方の人権活動家らがマニラ市で抗議集会を実施

戒厳令終結を訴える抗議集会参加者=23日午前10時半ごろ、首都圏マニラ市メンジョーラ橋前で冨田すみれ子撮影

 イスラム過激派によるミンダナオ地方マラウィ市占拠を理由に、ドゥテルテ大統領が同地方へ戒厳令を布告してから23日で1年が経過した。昨年10月の戦闘終結以降も、今年末までミンダナオ地方への戒厳令は継続されており、首圏各地では同

日、戒厳令に反対する抗議集会が開かれた。

 同日午前のマニラ市での抗議集会には、バヤンなど左派系団体や全国の先住民族団体から約千人が参加。「戒厳令に終止符を」「マラウィ戦闘の被害者に正義を」と書かれた横断幕やプラカードを掲げて、戒厳令下で続く人権侵害に抗議した。

 デモ隊はサントトマス大学で集会を行った後、大統領府近くのメンジョーラ橋まで行進。ラマダン期間で断食中のイスラム教徒もミンダナオ地方から参加し、猛暑の中で「戦闘が終わったミンダナオに戒厳令はいらない」と声を上げた。

 マギンダナオ州から参加した先住民の人権を守る活動家ジェロム・アバさん(25)は「戒厳令はミンダナオ地方に平和をもたらさない」と断言。「戦闘が終わったミンダナオでは戒厳令の名の下に活動家や先住民、農民が殺害されている」と話し「マルコス政権下の戒厳令の再来だ」と訴えた。

 人権団体カラパタンは同日までに、戒厳令布告から1年間に同地方で調査した人権侵害についての報告書を発表。共産党と無関係であるのに同党の軍事部門、新人民軍(NPA)のメンバーとされた学生、人権活動家、農民、イスラム過激派掃討を目的とする国軍による空爆で巻き添えになった住民など計49人が殺されたとし、これを「超法規的殺人」と非難した。このほか、89人が不当逮捕され、22人が拷問の被害にあったとしている。

 戒厳令はマラウィ市が占拠された昨年5月23日夜、ミンダナオ地方全域に60日間の期限で布告された。その後、同年7月に年末まで5カ月、さらに12月に18年年末まで1年間延長された。

 1987年制定の憲法では「侵略もしくは反乱により、治安維持のために必要な場合」に戒厳令布告と人身保護令状の停止措置を取ることができるとしている。戦闘が終結した後も、戒厳令が延長されたことについて左派系下院議員らは「憲法違反」として1月に最高裁に提訴、戒厳令の差し止めを求めていたが、翌月に最高裁は差し止め請求を棄却している。

 昨年12月に行われた民間調査機関ソーシャル・ウエザー・ステーション(SWS)による戒厳令に関する世論調査では、62%が「延長は必要ない」と答えていた。(冨田すみれ子)

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