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12月29日のまにら新聞から

もう若者は歌わない クリスマスキャロル

[ 645字|2017.12.29|社会 (society)|新聞論調 ]

 交差点で止まった時のこと、11歳ぐらいの少女が車に近づきクリスマスの歌を歌い始めた。別の交差点でも少年が「クリスマスのお恵みを」と書かれた紙を持って近づいたが、今度は何も歌わなかった。私は、歌う努力をした少女にお金をあげた。

 私たちの世代にとってクリスマスのキャロリング(町の聖歌隊)は友人や隣人たち、もしくは組織のメンバーらがクリスマスの精神を広めるために行った真剣な伝統行事だった。小遣いをもらうという意図もあったが、基本的には周りの人たちを楽しませるのが目的だった。良いキャロリングを見せて家の主たちが満足すればギフトをもらえたのである。

 私が10代の頃、11月にはキャロリングの準備を始めた。子どもたちは町でビンの栓を拾い集め、それを押しつぶして即席の楽器を作った。メンバーを募り、歌の選定やキャロリングの場所、スケジュールを組んだ。そしてギター担当者を選ぶ必要があった。ギター奏者がいない時は別の楽器の奏者を手配する必要があった。

 リハーサルも真剣。とにかく友人たちと一緒にいることが楽しかった。大学に通い始めると自分では歌わなくなったが、年下の子どもたちのキャロリングを聞くのが好きだった。子どもが生まれても、彼らが同じ伝統を過ごすのを見つめた。子どもたちがクリスマスの夜に聖歌隊を組んでも危険だとは当時思わなかった。麻薬撲滅に向けた国家警察による強圧的な取り締まりもまだなかった。しかし、その伝統も今や失われた。(23日・スタンダード、エリザベス・アンシオコ氏)

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