香港籍船舶を差し押さえ 北スリガオ州
フィリピン沿岸警備隊と国家捜査局(NBI)が4日、ミンダナオ地方北スリガオ州クレバー町でニッケル鉱石を積み込み中だった香港籍の船舶ゴールデン・ジェミニ号を差し押さえた。沿岸警備隊とNBIの捜査官が同船に乗り込んで捜査した結果、環境規定に違反し操業停止を命じられていたクレバー・ミネラル・デベロップメント社の鉱山から必要な許可を得ずに鉱石を運び出そうとしていたことが分かったため。
2012年に操業を停止した同社は現在、南スリガオ州選挙区選出のピチャイ下院議員グループの支配下に置かれている。同社は6月に鉱石を売却する段取りをつけたものの、環境保護活動家らはピチャイ議員が政府機関に鉱石の輸送・輸出許可を出すよう圧力をかけたと批判するなど、物議をかもす中での出来事だった。
9月14日にスリガオ港に到着し、同社の鉱山に向かった同船は、実際には鉱石の輸送・輸出許可を取得していなかった。
環境監視団体カラガ・ウォッチは、ピチャイ議員と環境・天然資源省の職員が癒着して鉱石の運び出しを画策したとしてオンブズマンに訴える構えを示している。また北スリガオ州選挙区選出のバーバース議員は、この件を国会の聴聞会にかけると言明した。
一方、同社のデテラ社長は「新たに操業を行い鉱石を産出したのではなく、これまでに堆積された鉱石や廃棄物を搬出しようとしただけだ。実際にすでに20万トン強を運び出している」と釈明した。(6日・インクワイアラー)