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10月9日のまにら新聞から

二者択一求めるな 比の外交方針

[ 737字|2016.10.9|社会 (society)|新聞論調 ]

 外交に関する最近の成り行きは混迷している。ドゥテルテ大統領は、比国内の超法規的殺人に懸念を表明したオバマ米大統領や欧州連合、国連を侮辱したかと思えば、中国やロシアとの関係強化を目指すと発言。先週には、比米合同軍事演習は今年が最後になると述べた。経済関係においては、中国が主導するアジアインフラ投資銀行への加入に向け予算配分すると発表した。

 フィリピンは同銀行への加盟に向けた合意書の署名を敬遠してきた。2013年に中国の習近平主席が同行の設立を発表した際、比は強い参加意欲を示したが、アキノ政権下で南シナ海における領有権問題を仲裁裁判所に提訴して以来、参加を引き延ばしてきた。

 ここで疑問が生じる。なぜ、比は長く盟友だった国と距離を置き、わが国の権利を認めた仲裁裁判所の判断を無視し続ける国に近づこうとしているのか。世界有数の大国である米国との関係を維持することは比にとって利益のないことだろうか。このような動向がもたらす結果を分析した人は政府にいないのか。米国の比に対する政府海外援助や軍事的支援にどんな影響が出るのか分かっているのだろうか。

 一番大きな影響はまず対外貿易の面で出てくるだろう。米国は発展途上国を支援するため農産品など特定品目に対する特恵関税制度を設けている。世界122カ国がその恩恵を受けているが、特にフィリピンは年間8億ドルに達する特恵関税の恩恵を得ているのだ。欧州も同様だ。欧州連合の特恵関税制度を利用できる東南アジア諸国連合加盟国はフィリピンだけである。 

 デルロサリオ前外務長官は、現在の外交方針は軌道を外れていると批判した。米国か中国かの二者択一ではなく、どの国とも友好的に付き合うのが外交の定石だ。(5日・インクワイアラー)

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