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9月12日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 643字|2016.9.12|社会 (society)|ハロハロ ]

 ダバオ市爆弾テロ事件で、犯行声明を出したイスラム過激派組織、アブサヤフの背後に麻薬組織の存在が浮上、と本紙が伝えている。そのアブサヤフはイスラム国(IS)と関係があるとされ、イスラム過激派の次の標的がフィリピンと言われていたただけに、来るべきものが来たという感じだ。多くのイスラム教徒はテロとは全く無縁である。とはいえ、歴史的な背景から、イスラムにテロのイメージがつきまとうのは否定できないところだ。

 ひと昔前にイラン北西部のアラムト山を訪れたことがある。11─13世紀ごろイスラム教シーア派の分派「暗殺者教団」がとりでを築いた所で、城跡が残っていた。歴史書によると、山の長老ハッサン・サッバーはスンニ派の指導者を抹殺するために、刺客となる若者たちを大麻と酒と美女によって陶酔状態にし、ただ一言「殺せ」とささやいた。アサシン(暗殺)の語源がハシシュ(大麻)に由来するのはこのためという。十字軍からも恐れられた暗殺者教団のことはマルコ・ポーロの「東方見聞録」にも記されている。

 もちろん現代のイスラム過激派と暗殺者教団は何のつながりもない。サッバーは「死んだらアラーのもとに行ける」と言って刺客を送り出したという。イスラム世界を巡る混沌(こんとん)状況を生み出した原因の一つは、近・現代を通じて中東を支配、介入した欧米列強の利害と思惑であり、欧米が犯した罪は大きい。ただ自爆テロの報道を聞くにつれ、現在でも暗殺者教団の教義が息づいていたらと思うと、ぞっとする。(立)

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