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4月4日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 569字|2016.4.4|社会 (society)|ハロハロ ]

 南関東の桜(ソメイヨシノ)は週末、満開となった。近ごろ桜見物に来る海外からのリピーターも多いようだ。静岡県・河津桜の花まつりでテレビのインタビューに答えていた香港からの女性は3回目の来日とか。「花はすべて上向きに咲くけど桜は下向きに咲き、こちらに顔を向けていてかわいい」と言う。日ごろ見慣れた日本人には思いもよらぬ視点で、妙に感心した。

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 桜の開花予想が全国ニュースになり、人々は満開の樹の下で宴を開く。こんな国は世界で日本だけだろう。お花見といえば「花見酒」という落語がある。花の下の客に酒を売るつもりの兄弟が、交互に客となって樽(たる)の酒を全部飲んでしまい、結局、売り上げは2人の間でやりとりした一杯分の硬貨だけという与太話。これに絡めて、笠信太朗は成長期の日本を「花見酒の経済」と書いた。フローばかりの底の浅さを指摘したものだが、50年後の現実はストックが増え、フローがままならぬ成熟社会となった。

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 桜は散り際の潔さがあって、それは日本人の美学にもなった。第二次世界大戦時、特攻隊員たちは「貴様と俺とは同期の桜」と歌い、「見事散りましょ、国のため」と南の空へ飛び立っていった。いや、こんな暗闇に迷い込んではいけない。桜に責任はない。雑念を振り払いながら、咲き誇る花を眺め歩いた。(紀) 

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