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9月14日のまにら新聞から

正体不明の怪獣 エドサの渋滞問題

[ 732字|2015.9.14|社会 (society)|新聞論調 ]

 7日、エドサ通りに国家警察交通警備隊が初めて配置された。交通渋滞解消に向けた取り締まりが期待され、確かに一部の区間で渋滞状況が緩和された。特に、ケソン市バリンタワック市場周辺の露天商や違法駐車の排除に力を入れたため、この地区では車両の流れが良くなった。ネット利用者の間では「月曜日の奇跡」ともてはやされ、同警備隊が渋滞問題の解消にとって有効な手段とも思われた。

 しかし、警官配置が応急処置にすぎなかったことがたった1日で明らかになった。8日の夕方、帰宅ラッシュ時に激しい雨が降り、エドサ通りをはじめ首都圏各地の道路で大渋滞が発生した。帰宅を急ぐ市民たちは路上や車上で数時間も待機させられた。エドサに秩序を取り戻したかに見えたあの警官隊の姿もなかった。彼らも恐らく大渋滞に巻き込まれたのだろう。

 9月8日の「ハルマゲドン」(世界の終末戦争)ならぬ「カーマゲドン」の発生は、マニラにおける大渋滞が多くの問題と複雑に絡まり合っていることをあらためて示した。例えば、一年の半分が雨期で数多くの台風に見舞われるこの国の首都が適切な排水や下水溝を持っていないというのは大きな問題だ。数十億ペソという税金が洪水対策事業に費やされているにもかかわらずだ。

 エドサ通りの交通量は1時間当たり1レーンだけで14万5千台が通行し、10年前から2万5千台増えている。1〜8月の新車販売台数も前年比20%増だ。通行量が増え、新車販売台数が伸びていることは通常、良いニュースのはずだが、現状では逆に問題を生んでいる。高架鉄道も有効な輸送手段となっておらず、利用者を逆に路上に押し返している。渋滞問題は実は正体不明の怪獣かもしれないという認識が必要だ。(12日・インクワイアラー)

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