何を「合意」したのか 宗教団体抗議
フィリピン発祥のプロテスタント系宗教団体、イグレシア・ニ・クリスト(INC)の抗議集会が8月30日に終了した。開催者は熱狂的に「勝利」を宣言し、「政府との『合意』を達成した」と呼び掛けた。しかし、合意内容については、教団側も政府も何も明らかにしなかった。
何が合意されたのか。INCがその票田の多さを武器に、大統領にデリマ長官罷免を求め、代わりに政権与党自由党(LP)の後継候補、ロハス内務自治長官への組織投票を約束したとみるのは、考えすぎだろうか。伝統的に、INCは選挙の追い込み期間まで待ち、最も人気のある候補者に投票する。
最悪の事実だが、アキノ政権は、抗議の発端になったINC元編集長によるINC幹部への告訴を取り下げた。では、INCの見返りはなんだろうか。INC幹部の監禁容疑を訴えた元編集長の代理人は、詳細な合意内容の提示を請求する権利がある。一方で、合意自体が事実だったかも疑わしい。事実でなければ、抗議集会開催者の勝利宣言は体面を取り繕うためだったのかもしれない。
抗議参加者は、集会でデリマ長官を「悪魔」と呼んでいる時、果たして長官の辞任を本当に求めただろうか。
信心深いことで有名なINC信者だが、今回の抗議集会には2万人も集まらなかった。
開催者は、政治家はみなINCの組織票を望んでいると考えている。しかし、INCへの支持を表明したビナイ副大統領やポー上院議員は、インターネットを中心に大きな反発を買った。集会開催者がもくろんだ権威誇示の目的は失敗に終わった。司法省に集まった信者はエドサ通りに移動した時、数を減らしていた。開催者の見込みは外れたのだ。(1日・インクワイアラー、ジョン・ネリー氏)