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6月29日のまにら新聞から

紛争に引き込むな 比日合同演習

[ 706字|2015.6.29|社会 (society)|新聞論調 ]

 西フィリピン海(南シナ海)で、外国軍と比海軍の合同演習が相次いで実施される。実効支配拡大を図る中国に対抗する狙いがあり、「話し合いによる平和的解決を」と繰り返してきたアキノ現政権の基本方針に沿わないことは誰の目にも明らかだ。

 南沙諸島スカーボロ礁の埋め立て工事完了を中国が発表した直後の6月下旬には、「力の誇示」を目的にした日米両国との合同軍事演習がそれぞれ行われる。同環礁周辺海域での、「遭遇戦」に備えるためとみられる。

 22〜25日に行われる演習には、海上自衛隊の哨戒機P3Cが参加する。目的は「災害発生時の捜索・救助活動、人道支援、情報・技術共有」などだが、比と同様、領有権で中国と対立する日本が、世界で最も平和的な憲法を改正しようとする中で行われる合同演習という意味合いがある。

 また、演習前のアキノ大統領公式訪日では、安倍晋三首相との会談で、比への防衛装備品・技術移転、自衛隊との合同演習実施、自衛隊による比国軍施設の使用などを可能にする訪問軍協定(VFA)締結へ向けた交渉開始などが合意された。

 中国は、東シナ海における米軍のプレゼンス、日本の対応に抗議を続けてきたが、西フィリピン海問題の関係国・地域に日本は含まれておらず、同海での自衛隊の活動は中国の警戒感をいたずらに高めるだけだ。比日間でVFAが締結された場合、比と中国の関係は一層悪化するだろう。

 日本を南沙諸島問題に引き込み、中国を刺激するアキノ現政権の「努力」は、決して比の国益に好ましい結果をもたらさない。複雑化する域内の領有権問題に必要なのは、現政権が訴えてきた「話し合いによる解決」だ。(22日・トリビューン)

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