局改革の難しさ 関税局長辞任
関税局長はフィリピン政府の中で最も厄介な役職になっている。これまで何度も辞任説が浮上、それを否定し続けてきたセビリア関税局長がついに辞任した。
宗教絡みの政治圧力に屈したというセビリア前局長の辞任理由は、そのさらに前に局長職を辞任したビアゾン元局長と驚くほど似通っている。
セビリア前局長は辞任の前日、「関税局を2016年の次期大統領選に向けた現政権の選挙資金作りの場にはさせない」と宣言していた。13年に就任した際は、同局内で政治的駆け引きが行われないよう厳しく規制すると抱負を語っていたが、辞任に至って「過去数カ月で規制の実現はより困難になった」と音を上げた。
辞任発表時、前局長は後任者が局改革を引き継ぐことを強く望んだ。また、局内の政治的駆け引きを抑えきれなかったことに悔しさをにじませながらも、「局改革は実現できると信じており、自ら危険を冒しながら局の浄化に取り組んでいる職員がいる」と話した。
政治衝突が原因で辞任したのはセビリア前局長だけではない。ビアゾン元局長も同じ問題を抱えていた。セビリア前局長が関税局の汚職体質を批判して辞任する以前に、首都圏マニラ市のマニラ港貨物滞留問題に取り組んでいたアルメンドラス内閣長官はこう話していた。「ゆすりは港の外にも、中にも、路上でもどこにでもある」。
汚職撲滅を政策方針に掲げてきたアキノ大統領は、この意見を無視できないはずだ。セビリア前局長は、次期大統領選が迫っている現状で、局内での政治的駆け引きを規制することは「不可能」と話した。「真っすぐな道」を押し進めたいのならば、現政権は、前局長の発言が間違いだということを証明しなければならない。(24日・スター)