観光立国は遠い 伸び悩む観光客数
ボラカイ島などの観光地が世界の注目を集めているフィリピン。2014年、海外から来比した観光客は前年の468万人を上回る483万人だったが、政権の目標「16年に年間1千万人達成」にはほど遠く、近隣諸国にも及ばない。
域内1位のマレーシアは相次ぐ航空機事故にもかかわらず、2743万人もの観光客を呼び込んだ。2位のタイは政治的混乱の影響で前年から200万人減少したが、2477万人を維持した。
ベトナムは787万人に躍進、前年ほぼ同数だった比を一気に追い抜いた。アンコールワット遺跡を擁するカンボジアは450万人、10年に79万人だったミャンマーは200万人強(13年)まで増え、比が後じんを拝する日は近い。
近隣諸国を訪れる観光客の多くは中国人。タイ、マレーシア、シンガポールはそれぞれ462万人、160万人、226万人の中国人観光客を呼び込み、領有権問題で中国と対立するベトナムは190万人。比は台湾を含め52万人にすぎない。
観光省のキャンペーンにもかかわらず、観光客数が伸び悩む原因は何か。まず挙げられるのは国際的知名度の低さ。マレーシアやシンガポールなど近隣諸国と比べて「割に合わない観光地」と思われているようだ。
第2はインドシナ半島から海を隔てた島国という地理的要因。バンコクやプーケットなどを周遊できる同半島とは対照的に、比は国内航路との連結も不十分。海外と国内観光地を結ぶ直行便はほとんどなく、乗り継ぎのためマニラで1日を費やす外国人観光客が多い。14年に入り韓国人殺害事件が続発したが、治安が第3の理由に挙げられるのは言うまでもない。(1日・スター、アナマリー・パミントゥアン氏)