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10月27日のまにら新聞から

性の権利を尊重せよ 比人殺害事件の教訓

[ 741字|2014.10.27|社会 (society)|新聞論調 ]

 同性愛者に対する誹謗(ひぼう)中傷は憎まれるべき犯罪である。私が言及しているのは、ルソン地方サンバレス州オロンガポ市で比人男性(26)を殺害したとして、米海兵隊員のペンバートン容疑者(19)が書類送検された事件。

 容疑者は訪問米軍地位協定(VFA)に基づく軍事演習目的でこの地に派遣されたが、比人男性が性転換した事実を知らず、これが結果的に事件を招いた。

 この悲劇から学ぶべき教訓は何だろうか。 

 恐らくは、同性愛者らの性的少数者(LGBT)に対する偏見の根強さである。だから国際的な人権団体は、性的少数者の平等な人権を訴えるとともに、正直にカミングアウトするよう呼び掛けている。

 しかし、正直に伝えなかったことが殺害の動機になってはならない。比米両国の関係に影響を及ぼしかねないため、事件への対応は慎重にならざるを得ないのは理解できるが、迅速な審理を求める被害者の遺族やドイツ人婚約者の心情にも配慮すべきだ。

 メディアもこの経験から学ぶことができる。同性愛者を少数派の一部として位置づけるメディアの倫理には普遍性がある。とはいえ、性転換者について報道する場合には、いささかの混乱がつきものだ。たとえばあるメディアは、今回の被害者を「彼」とし、別のメディアは「彼女」と表現した。

 オーストラリアの某紙も最近、性転換者のインドネシア人が殺害された事件を報じたが、その性別表記をめぐって物議を醸した。「レディーボーイ」という表現が、「非人間的」だと批判されたのだ。これにより、ある種の社会通念が人々の間に浸透してしまうだろう。

 人権団体が現在、メディアに要求しているのは、性的権利の尊重と性への尊厳である。(25日・ブレティン、フロランジェル・ブライド氏)

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