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5月19日のまにら新聞から

ハロハロ

[ 599字|2014.5.19|社会 (society)|ハロハロ ]

 指先が痛くなるほどの寒さの中、漆黒の空が濃いオレンジ色に染まる。南国の夜明け。明るさが広がる。と同時に、まさに息をのむほどの景色が目の前に現れる。噴煙を上げるジャワ島最高峰、スメル山(3676メートル)が一番奥・南の方角に鎮座し、その手前に向かって、これまた噴煙を上げるブロモ山(2329メートル)。朝もやのたなびく内輪の「砂漠」が、一挙に視界に飛び込んでくる。

 一緒したオーストラリア人が「ゴージャズ、ビューティフル」と驚嘆の声を上げる。洋の東西を問わず、絶景は見る者の心を激しく揺さぶり、感動をもたらす。途中、4駆車に乗り換え、未明にたどり着た展望台(2770メートル)は、500人を超す防寒着姿の内外観光客であふれた。好位置をキープできたわれわれ2人は寒さをすっかり忘れ、カメラのシャッターを押し続け、生涯忘れえぬ絶景を記録にとどめた。

 ジャワ島東部の商業都市、スラバヤに住む私の元に先月初め、シドニーの旧友から「年休をとり、ブロモ山に行きたい」とのメールが入った。ヒンズー教徒の霊山である同山はインドネシアが誇る観光資源のひとつで、変化に富む景観は必見とされる。ブロモ観光への同行を即決し、友人の来訪を待った。観光から2週間が過ぎた今も、まぶたを閉じると、ブロモ、スメル両火山が織り成す、荒々しくも均整のとれた自然美がパノラマのごとく、鮮明に浮かび上がってくる。(道)

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