副大統領と自治長官。次期大統領選
最近、次期大統領選(2016年)に関する世論調査結果が公表された。支持率40%でトップに立ったのは、野党陣営のビナイ副大統領。アキノ大統領の後継候補になると目されるロハス内務自治長官の支持率は6%だった。
「もう終わった」、「勝てない」、「大統領の資質を備えていない」。調査結果の公表後、このようなロハス内務自治長官評をよく耳にするようになった。確かに差は大きいが、現時点で大統領候補の選択肢からロハス長官を排除するのは時期尚早にすぎる。大統領選出馬を何度も口にしている副大統領と、一切言及していない同長官。世論調査結果に、ある程度の開きが出るのは当然だろう。さらに実際の選挙では複雑かつ多様な要素が有権者の投票動向を左右する。
例えば10年の前回大統領選。当初は、ロハス長官とビリヤール前上院議員の一騎打ちになるとみられていたが、状況はコラソン・アキノ元大統領死去(09年8月)で一変した。
それまで支持率調査の対象にすらなっていなかったアキノ上院議員=当時=が最有力候補となり、党友のロハス長官擁立は泡と消えた。ビリヤール前議員も、突如よみがえった「アジアを代表する民主主義の顔」に完敗した。
では、次期大統領選の行方を左右する要素には何があるだろう。有権者が最も敏感に反応する「汚職問題」では、過去に複数の疑惑が浮上したビナイ副大統領が不利だろう。一方、ロハス長官に対する「腐敗している」という評を耳にしたことはない。
現政権は現在、優先開発補助金(PDAF、通称ポークバレル)流用事件の全容解明に取り組んでいるわけだが、証人らが不正の実態を口にすればするほど、「クリーンな候補」を求める有権者の志向は高まるだろう。(9日・マラヤ、ホセ・バイロン氏)