形だけの辞任表明
仮設住宅建設費水増し
公共事業道路省のシンソン長官は、公約実現に進退をかける決意を表明した2人目の閣僚になった。台風ヨランダ(30号)被災者向けの共同仮設住宅の建設費が水増しされているとの疑惑が、この表明のきっかけになったという。
シンソン長官は、2013年のクリスマスまでに被災地の電力を復旧できなければ辞任すると宣言した同僚のペティリア・エネルギー長官にならったのだろう。この宣言は大々的に報道され、ペティリア長官は被災地約300自治体のうち3自治体の中心部で復旧できなかったとして、辞意を表明した。
しかし、アキノ大統領は同長官の働きを高く評価し、辞表を受理しなかった。史上最高幅となる電気料金引き上げを防ぐことができなかったにもかかわらず、ペティリア長官は、自分の言葉に責任を持つ人物として、度が過ぎるほど称賛された。辞表は受理されないと高をくくっているのか、シンソン長官も「水増しが確認された場合、辞任する」と表明した。
記者会見で「被災地復興の進展がアキノ政権の真価を問われるのではないか」と聞かれると、シンソン長官は機嫌を損ねた。住宅再建問題の解決に「ベストを尽くす」と約束する一方、現実的に見れば、アキノ政権が終わる16年までには、住宅再建は困難と認めた。
仕事ぶりが悪くとも、閣僚は責任を問われない。アキノ大統領は、いかに無能であっても忠実な部下をそばにそろえておきたいのだから、長官が進退をかけると言っても意味はないのだ。真実と責任を政府に求める国民にとっては嘆かわしいことだが、アキノ政権は公約は守らず、威勢の良い言葉を吹聴し、国民をだまし続けている。(8日・スタンダードトゥデー)