ハロハロ
食材の偽装表示問題が後を絶たない。大阪の阪神阪急ホテルズに始まり、全国の主要ホテルや大手百貨店などでも相次いで発覚し、関係者の謝罪会見が続く。日本百貨店協会の調査だと、加盟85社のうち6割の飲食店で、メニューと違う食材を使い、中華料理店が3分の1をを占めていたという。「思い違い」「誤表記」などという釈明では済まされない。長年、消費者をだまし続けた偽装商法にあ然とする。
◇
牛肉ステーキに牛脂注入肉や成形肉があることを初めて知った。肉質が固い輸入肉などに和牛の脂を注入して霜降りの高級ステーキに仕上げるという。牛脂注入肉の製造工程を紹介するテレビ番組を見た。大量のカット肉がベルトコンベヤーで機械の中に運ばれると、何十本もの針が下りてきて牛脂が注入された。ホテルの中には、この牛脂肉を「柔らか和牛ステーキ」と偽装表示していた。
◇
市販品のパンやパック詰めのジュースを自家製と偽って販売していたケースも、どうかと思う。自家製という定義は法的にはないそうだが、フレッシュジュースと表記されていたら、客は特製の搾り立てジュースと思って注文する。醸造アルコール入りを純米酒として虚偽表示していた酒造メーカーも名乗り出たが、いまや偽装列島の感がある。東京オリンピック招致で一躍脚光を浴びた日本式の「おもてなし」の言葉もむなしい。(富)